ハロウィーン・パーティー Hallowe'en Party
放送履歴
日本
オリジナル版(90分00秒)
- 2012年02月08日 22時00分〜 (NHK BSプレミアム)※1
- 2014年01月23日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
- 2017年01月14日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
- 2017年06月21日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
- 2021年07月24日 16時30分〜 (NHK BSプレミアム)
- 2022年01月05日 09時00分〜 (NHK BS4K)
- 2023年08月30日 21時00分〜 (NHK BSプレミアム・BS4K)※2
- ※1 エンディング途中の画面上部に「オリエント急行の殺人」放送予告およびNHKオンデマンドでの配信案内の字幕表示、エンディング末尾に「オリエント急行の殺人」放送予告の全画面表示あり
- ※2 BSプレミアムでの放送は、オープニング冒頭の画面左上にBS4K同時放送のアイコン表示あり
海外
- 2010年05月26日 20時00分〜 (典・TV4)
- 2010年10月27日 20時00分〜 (英・ITV1)
- 2011年07月03日 21時00分〜 (米・PBS)
原作
邦訳
- 『ハロウィーン・パーティ』 クリスティー文庫 山本やよい訳
- 『ハロウィーン・パーティ』 クリスティー文庫 中村能三訳
- 『ハロウィーン・パーティ』 ハヤカワミステリ文庫 中村能三訳
原書
- Hallowe'en Party, Collins, November 1969 (UK)
- Hallowe'en Party, Dodd Mead, 1969 (USA)
オープニングクレジット
日本
オリジナル版
名探偵ポワロ / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / ハロウィーン・パーティー // DAVID SUCHET / Agatha Christie POIROT / HALLOWE'EN PARTY based on the novel by Agatha Christie / Screenplay MARK GATISS / AMELIA BULLMORE, PAOLA DIONISOTTI, DEBORAH FINDLAY / IAN HALLARD, GEORGIA KING, PHYLLIDA LAW / JULIAN RHIND-TUTT, ERIC SYKES, SOPHIE THOMPSON / PAUL THORNLEY, TIMOTHY WEST, FENELLA WOOLGAR / and ZOË WANAMAKER as ARIADNE OLIVER / Producer KAREN THRUSSELL / Director CHARLES PALMER
エンディングクレジット
日本
オリジナル版
原作 アガサ・クリスティー 脚本 マーク・ゲイティス 演出 チャールズ・パーマー 制作 ITVスタジオズ/WGBHボストン アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス・アメリカ2010年) 声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 アリアドニ・オリヴァ(ゾーイ・ワナメイカー) 山本 陽子 ロウィーナ・ドレイク(デボラ・フィンドレイ) 久保田 民絵 マイケル・ガーフィールド(ジュリアン・リンド・タッド) 田中 正彦 ジュディス・バトラー(アメリア・ブルモア) 寺内 よりえ グッドボディ(パオラ・ディオニソティ) 藤 夏子 コットレル牧師 稲垣 隆史 ラグラン警部 林 次樹 フラトン弁護士 水谷 貞雄 ウィチカー先生 水野 千夏 フランシス・ドレイク 本名 陽子 エドムンド・ドレイク 居谷 四郎 レイノルズ夫人 泉 裕子 ミランダ・バトラー うえだ 星子 ジョージ 坂本 大地 三浦 綾乃 早志 勇紀 えもり えりこ 吉田 聖子 安田 奈緒子 奥原 彩 <日本語版制作スタッフ> 翻訳 日笠 千晶 演出 佐藤 敏夫 音声 田中 直也
DVD版
原作 アガサ・クリスティー 脚本 マーク・ゲイティス 演出 チャールズ・パーマー 制作 ITVスタジオズ/WGBHボストン アガサ・クリスティー・リミテッド (イギリス・アメリカ2010年) 声の出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 アリアドニ・オリヴァ(ゾーイ・ワナメイカー) 山本 陽子 ロウィーナ・ドレイク(デボラ・フィンドレイ) 久保田 民絵 マイケル・ガーフィールド(ジュリアン・リンド・タッド) 田中 正彦 ジュディス・バトラー(アメリア・ブルモア) 寺内 よりえ グッドボディ(パオラ・ディオニソティ) 藤 夏子 コットレル牧師 稲垣 隆史 ラグラン警部 林 次樹 フラトン弁護士 水谷 貞雄 ウィチカー先生 水野 千夏 フランシス・ドレイク 本名 陽子 エドムンド・ドレイク 居谷 四郎 レイノルズ夫人 泉 裕子 ミランダ・バトラー うえだ 星子 ジョージ 坂本 大地 三浦 綾乃 早志 勇紀 えもり えりこ 吉田 聖子 安田 奈緒子 奥原 彩 <日本語版制作スタッフ> 翻訳・台本 日笠 千晶 演出 佐藤 敏夫 調整 田中 直也 録音 岡部 直樹 プロデューサー 武士俣 公佑 間瀬 博美 制作統括 小坂 聖 山本 玄一
海外
オリジナル版
Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Judith Butler: AMELIA BULLMORE; Ariadne Oliver: ZOË WANAMAKER; Rowena Drake: DEBORAH FINDLAY; Miranda Butler: MARY HIGGINS; Mrs Reynolds: SOPHIE THOMPSON / Frances Drake: GEORGIA KING; Edmund Drake: IAN HALLARD; Reverend Cottrell: TIMOTHY WEST; Miss Whittaker: FENELLA WOOLGAR; Joyce Reynolds: MACY NYMAN; Leopold Reynolds: RICHARD BREISLIN / George: DAVID YELLAND; Mrs Goodbody: PAOLA DIONISOTTI; Michael Garfield: JULIAN RHIND-TUTT; Inspector Raglan: PAUL THORNLEY; Olga Seminoff: VERA FILATOVA; Mrs Llewellyn-Smythe: PHYLLIDA LAW; Mr Fullerton: ERIC SYKES / (中略)1st Assistant Director: PAUL JUDGES; 2nd Assistant Director: SEAN CLAYTON; 3rd Assistant Director: TUSSY FACCHIN; Location Manager: ROBIN PIM; Assistant Location Manager: MARK WALLEDGE; Script Supervisor: SUE HILLS / Script Executive: JANNIE SCANLON; Script Editor: MERIEL BAISTOW-CLARE; Script Associate: IAN HALLARD; Production Accountant: CAROLINE RUSSELL; Asst Production Accountant: JOANNA SANDERS; Production Co-ordinator: SAM BAKER; Production Secretary: SIMON BLAKEY / Camera Operator: STEVE MURRAY; Focus Pullers: DERMOT HICKEY, BEN GIBB; Clapper Loader: DEAN MURRAY; Camera Grip: JIM PHILPOTT; Gaffer: GAVIN WALTERS; Best Boy: JIMMY HARRIS; Press Officer: NATASHA BAYFORD / Supervising Art Director: PAUL GILPIN; Art Director: MIRANDA CULL; Standby Art Director: ANDREW LAVIN; Production Buyer: TIM BONSTOW; Construction Manager: DAVE CHANNON; Standby Construction: FRED FOSTER, BOB MUSKETT / Sound Recordist: ANDREW SISSONS; Sound Maintenance: ASHLEY REYNOLDS; Property Master: JIM GRINDLEY; Dressing Props: MIKE SYSON, JAY PALES, MIKE RAWLINGS; Standby Props: RICHARD MACMILLIAN, RON DOWLING; Picture Publicist: PATRICK SMITH / Assistant Costume Designer: PHIL O'CONNOR; Costume Supervisor: TRACY McGREGOR; Costume Assistants: SARAH WARD, STEVE O'SULLIVAN; Make-up Artists: BEE ARCHER, TONY LILLEY, HANNAH PROVERBS; Mr Suchet's Dresser: ANNE-MARIE BIGBY; Mr Suchet's Make-up Artist: EVA MARIEGES MOORE / Assistant Editor: VICKY TOOMS; Supervising Sound Editor: JOHN DOWNER; Dialogue Editor: SARAH MORTON; Re-recording Mixer: NIGEL SQUIBBS; Colourist: KEVIN HORSEWOOD; Online Editor: SIMON GIBLIN / Associate Producer: DAVID SUCHET; Post Production Supervisor: KATE STANNARD; Hair and Make-up Designer: PAMELA HADDOCK; Costume Designer: SHEENA NAPIER; Casting: SUSIE PARRISS; Production Executive: JULIE BURNELL / Composer: CHRISTIAN HENSON; Poirot Theme: CHRISTOPHER GUNNING; Editor: MATTHEW TABERN; Production Designer: JEFF TESSLER; Director of Photography: CINDERS FORSHAW BSC; Line Producer: MATTHEW HAMILTON / Executive Producer for WGBH Boston: REBECCA EATON / Executive Producers for Chorion: MATHEW PRICHARD, MARY DURKAN / Executive Producer: MICHELE BUCK; Executive Producer: DAMIEN TIMMER; © Agatha Christie Ltd. (a Chorion Company) 2010 / A Co-Production of itv STUDIOS and WGBH BOSTON in association with Agatha Christie Ltd (a Chorion Company)
あらすじ
ハロウィーン・パーティーの席上、ある少女が殺人を見たことがあると言い出した。そのときは誰も本気にしなかったが、やがて少女は死体となって発見される。事件の謎を追うポワロは少女が見たという殺人をたどって過去へと遡っていく……
事件発生時期
某年10月下旬 〜 11月上旬
主要登場人物
エルキュール・ポワロ | 私立探偵 |
アリアドニ・オリヴァ | 推理作家 |
ジュディス・バトラー | オリヴァ夫人の友人 |
ミランダ・バトラー | ジュディスの娘 |
ロウィーナ・ドレイク | ハロウィーン・パーティー主催者 |
フランシス・ドレイク | ロウィーナの娘 |
エドムンド・ドレイク | ロウィーナの息子 |
ジョイス・レイノルズ | 殺人を見たという少女 |
レオポルド・レイノルズ | ジョイスの兄 |
レイノルズ夫人 | ジョイスの母 |
コットレル | 牧師 |
エリザベス・ウィチカー | 教師、教会のオルガン奏者 |
グッドボディ夫人 | 掃除婦 |
マイケル・ガーフィールド | 造園師 |
ルイーズ・ルウェリン・スマイス | ドレイク夫人の伯母、故人 |
オルガ・セミノフ | ルウェリン・スマイス夫人のオー・ペア・ガール、チェコ・スロバキア人、失踪 |
レスリー・フェリア | 法律事務所事務員、故人 |
ベアトリス・ホワイト | 教師、故人 |
フラトン | 弁護士 |
ラグラン | 警部 |
ジョージ | ポワロの執事 |
解説、みたいなもの
ハロウィーンは、ケルト文化の流れを汲むと言われる、英国発祥の万聖節の前夜祭で、毎年10月31日におこなわれる。ただ、英国、特にイングランド南部ではずっと「ミューズ街の殺人」でも描かれる11月5日のガイ・フォークス・デイの方が盛んで、近年、米国から逆輸入されるまで、さほど大きなイベントではなかったという。そうしたハロウィーンの風習をクリスティーが作中に採りあげたのは、考古学者である夫の講演旅行に随伴して1966年に訪米し、その際4日を過ごしたニュー・イングランドでの経験が元にある[1]。劇中では、ハロウィーンの風物詩として、有名なカボチャのランタンや仮装のほか、火をつけたブランデーの中から干し葡萄をつまみ出す〈スナップドラゴン〉、手を使わずにバケツに浮いたリンゴを食べる〈アップルボビング〉などが描かれる一方、ガイ・フォークス・デイのほうは、花火の音と、ガーフィールドの台詞「今日は祝日、花火を上げる日だ」で言及される(英国で祝日一般に花火を上げる習慣があるわけではなく、ガイ・フォークス・デイの夜に花火を上げる習慣がある)程度にとどまる。ちなみに、その台詞は原語だと 'Guy Fawkes Night is almost upon us, Mrs Drake. (もうすぐガイ・フォークス・ナイトだよ、ドレイクさん)' で、まだガイ・フォークス・デイになっていない。
原作の発表は1969年と、1970年代を目前に発表された最晩年の作品で、「満潮に乗って」と「マギンティ夫人は死んだ」に登場したスペンス警視が引退後の姿を見せていたが、ドラマではかつてのジャップ警部のようにラグラン警部と置き換えられることもなく、妹のエルスペスとともに完全にカットされてしまった。そのほかの登場人物でも、パーティーの出席者や過去の事件の関係者が何人か整理されている一方、原作では名前だけの登場だったコットレル牧師や、原作に登場しないドレイク夫人の子供たちが登場し、現在の人間模様を濃密にしている。ルウェリン・スマイス夫人の庭は、原作の、ケルト民族の地であるアイルランドの自然を切り出したかのようなクオリ・ガーデン(石切場庭園)とは対照的に、きわめて人工的に整備されたヨーロッパ風の庭園となった。
ポワロが言及した「古の罪は長い影を落とす」という言葉は後期のクリスティーが好んで取り上げたテーマで、本作につづく「象は忘れない」の原作では章題にもなっている。世間ではすでに過ぎ去ったとされる事件へと遡っていく物語の展開は、私立探偵やアマチュア探偵という立場が時代と乖離していくなかで、ポワロやミス・マープルたちを変わらず活躍させるためにクリスティーが見出した方法論であったとも言われる。
冒頭でミランダが読んでいるオリヴァ夫人の本は原作に出てこないものだが、その題名 With Vinegar and Brown Paper はマザーグースの一節で、自作にマザーグースをよく使用したクリスティーを意識したものと思われる。なお、同書の初出はゲイティスの小説 The Devil in Amber に掲載された架空の本の広告で、ゲイティスはその小説を書くなかでも、広告部分を考えるのは楽しかったと述べていた[2]。また、オリヴァ夫人が編集者に求められている「新作」も原語では I'll Huff and I'll Puff という題名が挙げられているが、こちらは童話『三匹の子豚』の狼の台詞として知られ、「五匹の子豚」へのオマージュでもあろうか(もっとも、語られるそのあらすじは、いかにもマーク・ゲイティスらしい荒唐無稽な内容だけど)。
上に何か羽織るよう言われたウィチカー先生がコットレル牧師に「マントはいいわねえ。下にどんなに厚着をしててもわからないんだもの」と言ったところは、原語だと 'It's all right for you in that cassock. (牧師さんはその修道服だからいいでしょうよ) Bet you're got up like Scott of the bloody Antarctic under that lot. (どうせ南極のスコットみたいに下に着込んでるんでしょ)' という表現だが、牧師が着ているのはマントでも修道服でもない。また、原語で言及されている Scott of the Antarctic (南極のスコット) とは、世界初の南極点到達を目指した探検家のロバート・スコットのことであり、その探検を描いた映画のタイトルでもある。しかし、映画の公開は1948年のことで、その映画のタイトルを意識した発言ととらえると、劇中の1930年代には合わない。
エドムンドが読んでいる本は、エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」、ウィリアム・ホープ・ホジスンの『幽霊狩人カーナッキの事件簿』、そして台詞でも言及される『魔女狩り将軍』は実在の人物であるマシュー・ホプキンスに関する本のようだが、実在の書籍かは寡聞にして不明。
ポワロがグッドボディ夫人を訪ねる際に画面に映るカラスと黒猫は、ともに魔女のモチーフである。
ランチの席でフランシスが「ウドリーコモンはいかが、ポワロさん? お好き?」と訊いたあとにポワロとドレイク夫人が顔を見あわせて笑うのは、「お好き?」の原語が 'Common? (ありきたり?)' と村の名前に引っかけた質問だったためで、ポワロが「ユニーク (uncommon) な場所ですな」と応じたのも、それを受けたもの。また、フランシスが言う「フランシス・ドレイクなんて海賊みたいで嫌」に始まる会話は、16世紀にアルマダの海戦でスペインの無敵艦隊を破った同音の提督(男性)の存在を踏まえたやりとりである。そして、フランシスが昔言われたという「女王のお通りだ。水たまりにレインコートを敷けよ」に対するエドムンドの「それはローリー卿だ、ドレイクじゃない」という台詞で言及される「ローリー卿」とは、エリザベス一世の寵臣として知られるサー・ウォルター・ローリーのこと。彼はドレイク提督とほぼ同時代人で、アメリカ大陸への航海や入植でも知られることから、ドレイク提督との混同が起きたということだろう。なお、フランシス・ドレイク提督の父親の名前はエドムンドであり、この姉弟の名前はそこにちなんだと見られる。一方、エドムンドがフランシスに「でもあの頃は、相当やきもちを焼いてたよねえ」という台詞の原語 'You spent most of the time consumed by the green-eyed monster, didn't you, sis? (あの頃はしょっちゅう緑目の怪物にとりつかれていたよねえ)' は、シェークスピアの『オセロー』で嫉妬が緑色の目をした怪物に喩えられているのを受けた発言である。
コットレル牧師が礼拝で引用したのは、新約聖書のルカによる福音書15章。レオポルドも失ったレイノルズ夫人が口にする天の炎に関する逸話は、旧約聖書ヨブ記1章16節の引用である。
全貌に気づいたポワロが言う「同じことを三度も見過ごしました」という台詞は原語だと 'I have been an imbecile three times over! (わたしは〔普通のばかの〕三倍どころではないばかでした!)' という表現で、だから「見過ごし」た回想は一度しか流れない。これは本作の原作にはない台詞だが、初期の原作でポワロがしばしば口にする 'Imbecile that I have been! Triple imbecile!' や 'I was thirty-six times an idiot!' といった表現を踏まえた言いまわしで、「杉の柩」でも同様の台詞が用いられている。
ポワロが謎解きの最初に口にする「真っ暗な嵐の夜でした (It was a dark and stormy night.)」という一文(冒頭にミランダが聴いているラジオにも、これを意識した一節が含まれる)は、英語圏でもっともお定まりの書き出しとして有名なフレーズで、『ピーナッツ』でスヌーピーがいつも書く小説の書き出しとして知っている人もあるかもしれないが、その原典はエドワード・ブルワー・リットンの『ポール・クリフォード』。そのエドワード・ブルワー・リットンは、戯曲『リシュリュー』に登場する「ペンは剣よりも強し」という台詞でも知られるほか、満州事変の調査に国際連盟が派遣したリットン調査団の団長を務めたヴィクター・ブルワー・リットンの祖父であり、「三幕の殺人」でメルフォート療養所の撮影に使われたネブワース・ハウスは、彼が母の一族から受け継いだ邸宅である。
以上のほかにも、近作のドラマや後期原作では影を潜める「世界一優秀な探偵」を自称するポワロや、ポワロのエナメル靴への言及など、細かすぎるほどのこだわりやオマージュの数々は、「ドクター・フー」や「シャーロック」の脚本家としても知られるマーク・ゲイティスの好みを如実に反映している。
パーティー翌日にフランシスが「すごく憂鬱」な理由は、日本語だと「だってそうでしょ? パーティーだけならまだしも、殺人の後始末まで背負い込んじゃったのよ」と説明されるが、原語は 'I mean, clearing up after a party is always a bit of a chore, but when one's had a murder it feels so very parochial. (だって、パーティーの後始末はいつだって面倒だけど、殺人事件が起きると、それがひどく偏狭な感じがするじゃない)' という表現で、パーティーの後始末が面倒なのは変わらないのに、悲劇を目の当たりにして、それくらいのことを面倒くさがることへの自責の念が上乗せされると言っている。そして、そのあとの「そんな言い方するなよ」「冷静に言ってるだけ」というやりとりも、原語は 'Stop trying to be clever. (切れ者ぶるのはやめろよ)' 'I don't have to try, Edmund. (ぶる必要はないの)' となっていて、殺人をただの厄介事のように言い放つフランシスをエドムンドがいさめたニュアンスはない。
ポワロがジュディスに「しかし娘さんはきっとお父さまを誇りに〔思っているでしょう〕」と言ったところは、原語だと 'But he would have been of her most proud, I am sure. (きっとご主人は娘さんを誇りに思ったことでしょう)' という表現で、誇りに思うのはジュディスの死んだという夫から娘に対してであり、つまりポワロは、ジュディスが娘を立派に育てていると言っている。
ミランダが教会で壁のパネルを見て「ここに眠る――ほんとかな、ママ?」と訊いたのは、壁に 'NOT DEAD ONLY SLEEPING (死なず、ただ眠るのみ)' と書かれているように、眠る場所ではなく、死んだのではなくただ眠っているだけだという考え方を本当と思うかと訊ねている。
ビアトリス・ホワイトの死に不審な点はなかったとウィチカー先生が言ったのに対し、ポワロが「今となっては誰にも何とも言えません」と言ったところは、原語だと 'But at this present time no one is suggesting otherwise. (現時点では誰もそれに異論をはさもうというわけではありません)' と言っており、ほぼ逆の意味の台詞である。
本作の撮影は ITV のプレスリリースにオックスフォードシャーで進行中と発表されていたとおり、ウドリーコモンのセント・ウルフリック教会内部はグレート・ハムデンのセント・メリー・マグダレーナ教会、ドレイク夫人の邸宅アップル・ツリーズの庭はベックリー・パークの庭園で撮影された。しかし、教会の外やフラトン弁護士の事務所外観が撮影されたのは、ハートフォードシャーのハットフィールドにあるセント・エセルドレダ教会およびその前のフォア・ストリート。バトラー家やフラトン弁護士の事務所内部も、「スタイルズ荘の怪事件」では検死審問がひらかれたパブの内部として使われた、バッキンガムシャーのチェニーズ・マナーハウスで撮影された。アップル・ツリーズの建物とその周辺が撮影されたのは、サリー州チルワースにあるタングリー・ミア。このタングリー・ミアは、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」の「動く指」でもシミントンの家として使われている。撮影は2009年10月〜11月頃、イギリスでの放送は翌2010年の10月27日で、いずれもまさにハロウィーンの時季におこなわれた。
オルガ・セミノフの名前は原作どおりだが、「二重の手がかり」に登場したロサコフ伯爵夫人同様、この型の名字は本来性別によって変化し、女性の場合は末尾に a がついて「セミノワ」となるところ。また、彼女がしていた「オー・ペア・ガール (au pair girl)」とは、日本語だとグッドボディ夫人から「住み込み家政婦」と説明されるが、より詳しくは、家事などをおこなう代わりにホームステイさせてもらって、語学などを学ぶ若い女性のこと。これも原作の設定をそのまま引き継いだものだが、オー・ペアが一般的になったのは第二次大戦後のことで、劇中の時期は不明ながら、その舞台と見られる1930年代にはそぐわない。
ウドリーコモンへ向かう汽車の映像のうち、最初の線路のそばから写したものは、「マギンティ夫人は死んだ」でキルチェスターからブロードヒニーへ向かう汽車の映像の使いまわし。また、その次の牧草地越しに写したものは、ジュリア・マッケンジー主演「ミス・マープル4」の「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」でボビーとフランキーが汽車で出会った直後の映像から、手前の麦畑の合成を廃し、草木の色合いを秋らしく調整して、さらに左右反転したもの。そのため、連続した二つの場面で、空の明るさや木々の色づき具合が異なる。
エドムンド・ドレイクを演じるイアン・ハラードは、マーク・ゲイティスが脚本を手がけた本作と「鳩のなかの猫」においては脚本助手を、「ビッグ・フォー」ではゲイティスと共同脚本を手がけており、私生活においてはゲイティスのシビル・パートナーでもある。2人の結婚は2008年のことで、当時ゲイティスが出演していた「死との約束」の撮影現場では、スーシェからも祝福の言葉を受けたという[3]。
ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」シリーズでは、コットレル牧師役のティモシー・ウェストを「ポケットにライ麦を」のレックス・フォーテスキュー役、グッドボディ夫人役のパオラ・ディオニソティを「予告殺人」のミス・ヒンチクリフ役、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」シリーズでは、マイケル・ガーフィールド役のジュリアン・リンド・タットを「無実はさいなむ」のドクター・キャルガリ役、エドムンド・ドレイク役のイアン・ハラードを「シタフォードの秘密」の記者役で見ることができる。また、ジェレミー・ブレット主演「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズには、ロウィーナ・ドレイク役のデボラ・フィンドレイが「ボール箱」のサラ・カッシング役、レイノルズ夫人役のソフィー・トンプソンが「犯人は二人」のアガサ役、フラトン弁護士役のエリック・サイクスが「六つのナポレオン」のホレース・ハーカー役で出演しているほか、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」シリーズには、前述のティモシー・ウェストとデボラ・フィンドレイがそれぞれ、「人形の手に血のナイフ」のマーカス・ディビア役と「ラストダンスは天国で」のヒラリー・リチャーズ役で出演している。加えてティモシー・ウェストは、ビル・ビクスビー主演の「ロンドン殺人事件」のイースターフィールド卿役でも見ることができる。ベネディクト・カンバーバッチ主演「シャーロック2」には、ジュディス・バトラー役のアミリア・ブルモアが「バスカヴィルの犬 」のステープルトン博士役、エドムンド・ドレイク役のイアン・ハラードが「ライヘンバッハ・ヒーロー」の弁護士役で出演。ルウェリン・スマイス夫人役のフィリダ・ロウは「なぞの盗難事件」のレディー・キャリントン役以来、ウィチカー先生役のフェノラ・ウルガーは「エッジウェア卿の死」のエリス役以来の「名探偵ポワロ」再出演で、フィリダ・ロウはレイノルズ夫人役のソフィー・トンプソンと母娘共演。ただし、フィリダ・ロウの吹替は谷育子さんからえもりえりこさんへ、フェノラ・ウルガーの吹替は寺内よりえさんから水野千夏さんへ交代し、寺内よりえさんは本作ではジュディス・バトラー役の吹替を務めている。
汽車の中でマイケルに「ぼくは庭に美を生み出している」と言われてポワロが笑い声を立てたり、ドレイク夫人に食後の庭の散策を提案されて愛想笑いで声を立てたり、発見した遺言補足書が偽造に見えないと言われて「ほう? ふっ」と声を出したり、「〔解決まで〕長くはかかりません」とドレイク夫人に請けあったあとの笑みで声を立てたりするのは日本語音声のみである。
» 結末や真相に触れる内容を表示
ルウェリン・スマイス夫人殺害事件にまつわる要素は、このドラマシリーズでも過去に映像化済みの短篇〔» 作品の題名とその内容を表示〕「あなたの庭はどんな庭?」の事件を再構成したもの。富裕な老婦人がロシア人(本ドラマではチェコ・スロバキア出身に脚色)の娘に遺産を残して姪に殺害されるという状況が一致するだけでなく、本作でその姪と共犯関係にあるマイケルの存在は、「あなたの庭はどんな庭?」では犯人のデラフォンテン夫人に集約されていた、庭に強すぎる愛情を抱いているという要素を切り出して独立させたものと言える。また、長篇〔» 作品の題名とその内容を表示〕「もの言えぬ証人」の事件も同様の骨格を持つが、その解決の鍵となった犯人の本名アラベラは、ドラマでは触れられないものの、本作の犯人であるドレイク夫人のミドルネームでもある。
コットレル牧師がジョイスについて語った「これはおじさんの話だったんですが、インドに行ったって言い張るんです。マハラジャに会いに行っただの、虎や象を銃で撃っただの、どんどん話が膨らんで、虎の数が現実にはありえないくらいに増える。自分の空想に酔ってたんです」という台詞は、日本語だとジョイスがおじさんの話を膨らませて吹聴していたようにも聞こえるが、原語は 'I remember her uncle had been to India on holiday and she had us all believe that she'd been there. (おじさんがインドへ旅行に行ったのを、自分が行ったかのように思わせようとしたことがありましてね) Went on about a Maharajah and... shooting at tigers and elephants and so on. And the stories got added to everytime. (それがマハラジャだの虎狩りや象狩りだのと話が毎回膨らんで) There were more tigers—far more tigers than were remotely possible. (虎の数がおよそありえないくらいに増えた) And she hadn't even been there. (インドに自分は行ってもいないのに)' という表現で、他人の体験を自分のことのように語ったのが明確になっている。また、ポワロが真相に気づいた際の回想も、日本語だと「実際はおじさんの話で……どんどん話が膨らんで……自分の空想に酔ってた」と、リアルタイムのときとすこし表現が変わっているが、原語は 'I remember her uncle had been to India... (おじさんがインドへ旅行に行ったのを……) The story got added to everytime... (話が毎回膨らんで……) And she handn't ever been! (自分は行ってもいないのに)' と、一応リアルタイムの台詞の一部になっている。
ドレイク夫人とのランチに向かうポワロにマイケルが「彼女は手強い、完全防備で臨んだほうがいい」とアドバイスしたところは、原語だと 'You will only survive if you look at her reflection in a polished shield... (彼女の姿は磨かれた楯に映して見ないと生き残れないよ)' という表現で、ギリシャ神話の英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを退治した際の逸話にちなみ、ドレイク夫人をメドゥーサに喩えた冗談を言っている。おそらくはこの発言が、マイケルにドレイク夫人への愛はなかったとポワロに気づかせたのだろう。
ルウェリン・スマイス夫人殺害の動機についてポワロが「彼女はあらゆる犠牲と引き替えに、この庭師を雇いつづけた!」と言った時点で、犯人はマイケルの雇い主であるドレイク夫人に決まってしまいそうだが、誰もそのような反応は見せない。原語では 'Someone who was determined to have this Michael Garfield no matter what the cost! (このマイケル・ガーフィールドを手放さない決意の人物は、どんな犠牲もいとわなかった!)' という表現で、「雇う」とまでは言っておらず、また直前の台詞も含めて性別も限定していない。
シェークスピアが言ったという「不平不満は愛の裏返し」の原語 'Methinks, the lady doth protest too much. (彼女の誓いはくどすぎではないかしら)' は、『ハムレット』第三幕第二場でガートルード王妃が、劇中劇の王妃役の愛の誓い方が過剰で、かえって真実味に欠けると評した際の台詞として知られる。転じて、愛の誓いに限らず、過度に力説するあまり、逆に不信を招く様子を言う。加えて、現在の protest は中心的な語義が「抗議する」という意味に変化しており、ドレイク夫人のマイケルへの抗議が不自然に強すぎる様子が、この『ハムレット』の台詞にかけられている。ただし厳密には、『ハムレット』の原文は The lady doth protest too much, methinks. の語順である。つまり、シェークスピアは別に「不平不満は愛の裏返し」とは言っていない。
ポワロが言う「ところが邪魔者が現れた」の原語 'But in the ointment, there is a fly, eh? (ところが香油のなかにハエがいた)' は、旧約聖書の伝道の書10章1節に基づく言いまわしである。
フェリア殺害の一幕は、その前の「レスリー・フェリアが本物の補足書を隠した見返りは十分だったでしょうか?」というポワロの台詞から追加の金を無心して殺害されたと取ると、二人のやりとりがいささか不自然に聞こえる。ポワロの台詞は原語だと 'Lesley Ferrier is never to see the rewards of his actions, the concealing of the codicil. (レスリー・フェリアは補足書を隠した見返りを得ることはありませんでした)' という表現で、マイケルは最初の報酬を渡すはずのタイミングで殺害している。
ドレイク夫人がジョイスにあげると言ってそそのかした「半シリング」は原語だと半クラウン(2シリング半)で、日本語は5分の1に値切られている。また、日本語ではポワロがドレイク夫人に「そして、しばらく経ってからようやくあなたは自分の服が濡れていることに気がついた」と言うので、ジョイス殺害から気づきまでのあいだに時間の経過があったように聞こえるが、原語は 'And only after when this deed so terrible it has been committed, you realise that you are soaking wet. (この実に恐ろしい行為を犯してしまったあとで初めて、あなたは自分がずぶ濡れになっていることに気づくのです)' という表現で、時間的な空白はない。
ポワロがレオポルド殺害の動機を指摘したあと、「〔ドレイク夫人は〕書斎を見て驚くという演技で疑惑の目を彼〔レオポルド〕に向けさせることに成功した!」と言うが、実際にドレイク夫人が驚いた演技した時点ではレオポルドに犯行を見られていたことを知らなかったはず。原語は 'and you use the glance towards the door of the library to divert suspicion onto him (書斎のドアのほうを見ていたことを利用して、疑いを彼に逸らした)' という表現で、本来は濡れた服を誤魔化すためだった演技を利用して、それがあたかもレオポルドを見たためだったかのように偽装を重ねたと言っている。だから、ドレイク夫人が書斎を見て驚いたふりをしたときではなく、レオポルドを見たとあとから嘘の打ち明け話をしたときの回想につながる。
ポワロが「まちがいなく彼女〔オルガの遺体〕はそこに眠っています! ただの庭であればその土は自然の循環に委ねられるでしょう」と言ったあと、「しかしあの庭は……マイケル・ガーフィールドによって回復不能までに冒された、悪の傑作だ!」と言った部分は、原語だと 'This garden... with which Michael Garfield is never satisfied—his masterpiece! (その庭は……マイケル・ガーフィールドが決して満足することがなかった――彼の傑作だ!)' という表現で、日本語よりももっと散文的に、マイケルがいつまでも満足しないがゆえに常に手が入れられ、自然の循環に任されてこなかった(から遺体が残っているはずだ)と言っている。
マイケルがドレイク夫人との関係について「これはみんな、金のためだ。当然だろ。それに、地中海の……小さな島を買ってそこに……新しい庭を……つくりたかった」と言ったところは、原語だと 'I did it all for the money. (みんな金のためにやったんだ) Of course I did. (当然だろ) And for the garden. (それから〔ここの〕庭のため) Actually I was thinking about buying... a little Greek island—start afresh. (実はギリシャの小さな島を買おうと思ってたんだ――新しいスタートさ)' という表現で、前半は金だけでなくドレイク家の庭の手入れをできる立場を手に入れるのも動機の一つだと言っている一方、後半はすでにドレイク夫人のもとを離れる心づもりだったということで、動機の説明ではない。もっとも、ギリシャの小島の購入資金はドレイク夫人との関係によって入手したのだろうけど。
原作の発表は1969年と、1970年代を目前に発表された最晩年の作品で、「満潮に乗って」と「マギンティ夫人は死んだ」に登場したスペンス警視が引退後の姿を見せていたが、ドラマではかつてのジャップ警部のようにラグラン警部と置き換えられることもなく、妹のエルスペスとともに完全にカットされてしまった。そのほかの登場人物でも、パーティーの出席者や過去の事件の関係者が何人か整理されている一方、原作では名前だけの登場だったコットレル牧師や、原作に登場しないドレイク夫人の子供たちが登場し、現在の人間模様を濃密にしている。ルウェリン・スマイス夫人の庭は、原作の、ケルト民族の地であるアイルランドの自然を切り出したかのようなクオリ・ガーデン(石切場庭園)とは対照的に、きわめて人工的に整備されたヨーロッパ風の庭園となった。
ポワロが言及した「古の罪は長い影を落とす」という言葉は後期のクリスティーが好んで取り上げたテーマで、本作につづく「象は忘れない」の原作では章題にもなっている。世間ではすでに過ぎ去ったとされる事件へと遡っていく物語の展開は、私立探偵やアマチュア探偵という立場が時代と乖離していくなかで、ポワロやミス・マープルたちを変わらず活躍させるためにクリスティーが見出した方法論であったとも言われる。
冒頭でミランダが読んでいるオリヴァ夫人の本は原作に出てこないものだが、その題名 With Vinegar and Brown Paper はマザーグースの一節で、自作にマザーグースをよく使用したクリスティーを意識したものと思われる。なお、同書の初出はゲイティスの小説 The Devil in Amber に掲載された架空の本の広告で、ゲイティスはその小説を書くなかでも、広告部分を考えるのは楽しかったと述べていた[2]。また、オリヴァ夫人が編集者に求められている「新作」も原語では I'll Huff and I'll Puff という題名が挙げられているが、こちらは童話『三匹の子豚』の狼の台詞として知られ、「五匹の子豚」へのオマージュでもあろうか(もっとも、語られるそのあらすじは、いかにもマーク・ゲイティスらしい荒唐無稽な内容だけど)。
上に何か羽織るよう言われたウィチカー先生がコットレル牧師に「マントはいいわねえ。下にどんなに厚着をしててもわからないんだもの」と言ったところは、原語だと 'It's all right for you in that cassock. (牧師さんはその修道服だからいいでしょうよ) Bet you're got up like Scott of the bloody Antarctic under that lot. (どうせ南極のスコットみたいに下に着込んでるんでしょ)' という表現だが、牧師が着ているのはマントでも修道服でもない。また、原語で言及されている Scott of the Antarctic (南極のスコット) とは、世界初の南極点到達を目指した探検家のロバート・スコットのことであり、その探検を描いた映画のタイトルでもある。しかし、映画の公開は1948年のことで、その映画のタイトルを意識した発言ととらえると、劇中の1930年代には合わない。
エドムンドが読んでいる本は、エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」、ウィリアム・ホープ・ホジスンの『幽霊狩人カーナッキの事件簿』、そして台詞でも言及される『魔女狩り将軍』は実在の人物であるマシュー・ホプキンスに関する本のようだが、実在の書籍かは寡聞にして不明。
ポワロがグッドボディ夫人を訪ねる際に画面に映るカラスと黒猫は、ともに魔女のモチーフである。
ランチの席でフランシスが「ウドリーコモンはいかが、ポワロさん? お好き?」と訊いたあとにポワロとドレイク夫人が顔を見あわせて笑うのは、「お好き?」の原語が 'Common? (ありきたり?)' と村の名前に引っかけた質問だったためで、ポワロが「ユニーク (uncommon) な場所ですな」と応じたのも、それを受けたもの。また、フランシスが言う「フランシス・ドレイクなんて海賊みたいで嫌」に始まる会話は、16世紀にアルマダの海戦でスペインの無敵艦隊を破った同音の提督(男性)の存在を踏まえたやりとりである。そして、フランシスが昔言われたという「女王のお通りだ。水たまりにレインコートを敷けよ」に対するエドムンドの「それはローリー卿だ、ドレイクじゃない」という台詞で言及される「ローリー卿」とは、エリザベス一世の寵臣として知られるサー・ウォルター・ローリーのこと。彼はドレイク提督とほぼ同時代人で、アメリカ大陸への航海や入植でも知られることから、ドレイク提督との混同が起きたということだろう。なお、フランシス・ドレイク提督の父親の名前はエドムンドであり、この姉弟の名前はそこにちなんだと見られる。一方、エドムンドがフランシスに「でもあの頃は、相当やきもちを焼いてたよねえ」という台詞の原語 'You spent most of the time consumed by the green-eyed monster, didn't you, sis? (あの頃はしょっちゅう緑目の怪物にとりつかれていたよねえ)' は、シェークスピアの『オセロー』で嫉妬が緑色の目をした怪物に喩えられているのを受けた発言である。
コットレル牧師が礼拝で引用したのは、新約聖書のルカによる福音書15章。レオポルドも失ったレイノルズ夫人が口にする天の炎に関する逸話は、旧約聖書ヨブ記1章16節の引用である。
全貌に気づいたポワロが言う「同じことを三度も見過ごしました」という台詞は原語だと 'I have been an imbecile three times over! (わたしは〔普通のばかの〕三倍どころではないばかでした!)' という表現で、だから「見過ごし」た回想は一度しか流れない。これは本作の原作にはない台詞だが、初期の原作でポワロがしばしば口にする 'Imbecile that I have been! Triple imbecile!' や 'I was thirty-six times an idiot!' といった表現を踏まえた言いまわしで、「杉の柩」でも同様の台詞が用いられている。
ポワロが謎解きの最初に口にする「真っ暗な嵐の夜でした (It was a dark and stormy night.)」という一文(冒頭にミランダが聴いているラジオにも、これを意識した一節が含まれる)は、英語圏でもっともお定まりの書き出しとして有名なフレーズで、『ピーナッツ』でスヌーピーがいつも書く小説の書き出しとして知っている人もあるかもしれないが、その原典はエドワード・ブルワー・リットンの『ポール・クリフォード』。そのエドワード・ブルワー・リットンは、戯曲『リシュリュー』に登場する「ペンは剣よりも強し」という台詞でも知られるほか、満州事変の調査に国際連盟が派遣したリットン調査団の団長を務めたヴィクター・ブルワー・リットンの祖父であり、「三幕の殺人」でメルフォート療養所の撮影に使われたネブワース・ハウスは、彼が母の一族から受け継いだ邸宅である。
以上のほかにも、近作のドラマや後期原作では影を潜める「世界一優秀な探偵」を自称するポワロや、ポワロのエナメル靴への言及など、細かすぎるほどのこだわりやオマージュの数々は、「ドクター・フー」や「シャーロック」の脚本家としても知られるマーク・ゲイティスの好みを如実に反映している。
パーティー翌日にフランシスが「すごく憂鬱」な理由は、日本語だと「だってそうでしょ? パーティーだけならまだしも、殺人の後始末まで背負い込んじゃったのよ」と説明されるが、原語は 'I mean, clearing up after a party is always a bit of a chore, but when one's had a murder it feels so very parochial. (だって、パーティーの後始末はいつだって面倒だけど、殺人事件が起きると、それがひどく偏狭な感じがするじゃない)' という表現で、パーティーの後始末が面倒なのは変わらないのに、悲劇を目の当たりにして、それくらいのことを面倒くさがることへの自責の念が上乗せされると言っている。そして、そのあとの「そんな言い方するなよ」「冷静に言ってるだけ」というやりとりも、原語は 'Stop trying to be clever. (切れ者ぶるのはやめろよ)' 'I don't have to try, Edmund. (ぶる必要はないの)' となっていて、殺人をただの厄介事のように言い放つフランシスをエドムンドがいさめたニュアンスはない。
ポワロがジュディスに「しかし娘さんはきっとお父さまを誇りに〔思っているでしょう〕」と言ったところは、原語だと 'But he would have been of her most proud, I am sure. (きっとご主人は娘さんを誇りに思ったことでしょう)' という表現で、誇りに思うのはジュディスの死んだという夫から娘に対してであり、つまりポワロは、ジュディスが娘を立派に育てていると言っている。
ミランダが教会で壁のパネルを見て「ここに眠る――ほんとかな、ママ?」と訊いたのは、壁に 'NOT DEAD ONLY SLEEPING (死なず、ただ眠るのみ)' と書かれているように、眠る場所ではなく、死んだのではなくただ眠っているだけだという考え方を本当と思うかと訊ねている。
ビアトリス・ホワイトの死に不審な点はなかったとウィチカー先生が言ったのに対し、ポワロが「今となっては誰にも何とも言えません」と言ったところは、原語だと 'But at this present time no one is suggesting otherwise. (現時点では誰もそれに異論をはさもうというわけではありません)' と言っており、ほぼ逆の意味の台詞である。
本作の撮影は ITV のプレスリリースにオックスフォードシャーで進行中と発表されていたとおり、ウドリーコモンのセント・ウルフリック教会内部はグレート・ハムデンのセント・メリー・マグダレーナ教会、ドレイク夫人の邸宅アップル・ツリーズの庭はベックリー・パークの庭園で撮影された。しかし、教会の外やフラトン弁護士の事務所外観が撮影されたのは、ハートフォードシャーのハットフィールドにあるセント・エセルドレダ教会およびその前のフォア・ストリート。バトラー家やフラトン弁護士の事務所内部も、「スタイルズ荘の怪事件」では検死審問がひらかれたパブの内部として使われた、バッキンガムシャーのチェニーズ・マナーハウスで撮影された。アップル・ツリーズの建物とその周辺が撮影されたのは、サリー州チルワースにあるタングリー・ミア。このタングリー・ミアは、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」の「動く指」でもシミントンの家として使われている。撮影は2009年10月〜11月頃、イギリスでの放送は翌2010年の10月27日で、いずれもまさにハロウィーンの時季におこなわれた。
オルガ・セミノフの名前は原作どおりだが、「二重の手がかり」に登場したロサコフ伯爵夫人同様、この型の名字は本来性別によって変化し、女性の場合は末尾に a がついて「セミノワ」となるところ。また、彼女がしていた「オー・ペア・ガール (au pair girl)」とは、日本語だとグッドボディ夫人から「住み込み家政婦」と説明されるが、より詳しくは、家事などをおこなう代わりにホームステイさせてもらって、語学などを学ぶ若い女性のこと。これも原作の設定をそのまま引き継いだものだが、オー・ペアが一般的になったのは第二次大戦後のことで、劇中の時期は不明ながら、その舞台と見られる1930年代にはそぐわない。
ウドリーコモンへ向かう汽車の映像のうち、最初の線路のそばから写したものは、「マギンティ夫人は死んだ」でキルチェスターからブロードヒニーへ向かう汽車の映像の使いまわし。また、その次の牧草地越しに写したものは、ジュリア・マッケンジー主演「ミス・マープル4」の「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」でボビーとフランキーが汽車で出会った直後の映像から、手前の麦畑の合成を廃し、草木の色合いを秋らしく調整して、さらに左右反転したもの。そのため、連続した二つの場面で、空の明るさや木々の色づき具合が異なる。
エドムンド・ドレイクを演じるイアン・ハラードは、マーク・ゲイティスが脚本を手がけた本作と「鳩のなかの猫」においては脚本助手を、「ビッグ・フォー」ではゲイティスと共同脚本を手がけており、私生活においてはゲイティスのシビル・パートナーでもある。2人の結婚は2008年のことで、当時ゲイティスが出演していた「死との約束」の撮影現場では、スーシェからも祝福の言葉を受けたという[3]。
ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」シリーズでは、コットレル牧師役のティモシー・ウェストを「ポケットにライ麦を」のレックス・フォーテスキュー役、グッドボディ夫人役のパオラ・ディオニソティを「予告殺人」のミス・ヒンチクリフ役、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル」シリーズでは、マイケル・ガーフィールド役のジュリアン・リンド・タットを「無実はさいなむ」のドクター・キャルガリ役、エドムンド・ドレイク役のイアン・ハラードを「シタフォードの秘密」の記者役で見ることができる。また、ジェレミー・ブレット主演「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズには、ロウィーナ・ドレイク役のデボラ・フィンドレイが「ボール箱」のサラ・カッシング役、レイノルズ夫人役のソフィー・トンプソンが「犯人は二人」のアガサ役、フラトン弁護士役のエリック・サイクスが「六つのナポレオン」のホレース・ハーカー役で出演しているほか、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」シリーズには、前述のティモシー・ウェストとデボラ・フィンドレイがそれぞれ、「人形の手に血のナイフ」のマーカス・ディビア役と「ラストダンスは天国で」のヒラリー・リチャーズ役で出演している。加えてティモシー・ウェストは、ビル・ビクスビー主演の「ロンドン殺人事件」のイースターフィールド卿役でも見ることができる。ベネディクト・カンバーバッチ主演「シャーロック2」には、ジュディス・バトラー役のアミリア・ブルモアが「バスカヴィルの
汽車の中でマイケルに「ぼくは庭に美を生み出している」と言われてポワロが笑い声を立てたり、ドレイク夫人に食後の庭の散策を提案されて愛想笑いで声を立てたり、発見した遺言補足書が偽造に見えないと言われて「ほう? ふっ」と声を出したり、「〔解決まで〕長くはかかりません」とドレイク夫人に請けあったあとの笑みで声を立てたりするのは日本語音声のみである。
» 結末や真相に触れる内容を表示
ルウェリン・スマイス夫人殺害事件にまつわる要素は、このドラマシリーズでも過去に映像化済みの短篇〔» 作品の題名とその内容を表示〕「あなたの庭はどんな庭?」の事件を再構成したもの。富裕な老婦人がロシア人(本ドラマではチェコ・スロバキア出身に脚色)の娘に遺産を残して姪に殺害されるという状況が一致するだけでなく、本作でその姪と共犯関係にあるマイケルの存在は、「あなたの庭はどんな庭?」では犯人のデラフォンテン夫人に集約されていた、庭に強すぎる愛情を抱いているという要素を切り出して独立させたものと言える。また、長篇〔» 作品の題名とその内容を表示〕「もの言えぬ証人」の事件も同様の骨格を持つが、その解決の鍵となった犯人の本名アラベラは、ドラマでは触れられないものの、本作の犯人であるドレイク夫人のミドルネームでもある。
コットレル牧師がジョイスについて語った「これはおじさんの話だったんですが、インドに行ったって言い張るんです。マハラジャに会いに行っただの、虎や象を銃で撃っただの、どんどん話が膨らんで、虎の数が現実にはありえないくらいに増える。自分の空想に酔ってたんです」という台詞は、日本語だとジョイスがおじさんの話を膨らませて吹聴していたようにも聞こえるが、原語は 'I remember her uncle had been to India on holiday and she had us all believe that she'd been there. (おじさんがインドへ旅行に行ったのを、自分が行ったかのように思わせようとしたことがありましてね) Went on about a Maharajah and... shooting at tigers and elephants and so on. And the stories got added to everytime. (それがマハラジャだの虎狩りや象狩りだのと話が毎回膨らんで) There were more tigers—far more tigers than were remotely possible. (虎の数がおよそありえないくらいに増えた) And she hadn't even been there. (インドに自分は行ってもいないのに)' という表現で、他人の体験を自分のことのように語ったのが明確になっている。また、ポワロが真相に気づいた際の回想も、日本語だと「実際はおじさんの話で……どんどん話が膨らんで……自分の空想に酔ってた」と、リアルタイムのときとすこし表現が変わっているが、原語は 'I remember her uncle had been to India... (おじさんがインドへ旅行に行ったのを……) The story got added to everytime... (話が毎回膨らんで……) And she handn't ever been! (自分は行ってもいないのに)' と、一応リアルタイムの台詞の一部になっている。
ドレイク夫人とのランチに向かうポワロにマイケルが「彼女は手強い、完全防備で臨んだほうがいい」とアドバイスしたところは、原語だと 'You will only survive if you look at her reflection in a polished shield... (彼女の姿は磨かれた楯に映して見ないと生き残れないよ)' という表現で、ギリシャ神話の英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを退治した際の逸話にちなみ、ドレイク夫人をメドゥーサに喩えた冗談を言っている。おそらくはこの発言が、マイケルにドレイク夫人への愛はなかったとポワロに気づかせたのだろう。
ルウェリン・スマイス夫人殺害の動機についてポワロが「彼女はあらゆる犠牲と引き替えに、この庭師を雇いつづけた!」と言った時点で、犯人はマイケルの雇い主であるドレイク夫人に決まってしまいそうだが、誰もそのような反応は見せない。原語では 'Someone who was determined to have this Michael Garfield no matter what the cost! (このマイケル・ガーフィールドを手放さない決意の人物は、どんな犠牲もいとわなかった!)' という表現で、「雇う」とまでは言っておらず、また直前の台詞も含めて性別も限定していない。
シェークスピアが言ったという「不平不満は愛の裏返し」の原語 'Methinks, the lady doth protest too much. (彼女の誓いはくどすぎではないかしら)' は、『ハムレット』第三幕第二場でガートルード王妃が、劇中劇の王妃役の愛の誓い方が過剰で、かえって真実味に欠けると評した際の台詞として知られる。転じて、愛の誓いに限らず、過度に力説するあまり、逆に不信を招く様子を言う。加えて、現在の protest は中心的な語義が「抗議する」という意味に変化しており、ドレイク夫人のマイケルへの抗議が不自然に強すぎる様子が、この『ハムレット』の台詞にかけられている。ただし厳密には、『ハムレット』の原文は The lady doth protest too much, methinks. の語順である。つまり、シェークスピアは別に「不平不満は愛の裏返し」とは言っていない。
ポワロが言う「ところが邪魔者が現れた」の原語 'But in the ointment, there is a fly, eh? (ところが香油のなかにハエがいた)' は、旧約聖書の伝道の書10章1節に基づく言いまわしである。
フェリア殺害の一幕は、その前の「レスリー・フェリアが本物の補足書を隠した見返りは十分だったでしょうか?」というポワロの台詞から追加の金を無心して殺害されたと取ると、二人のやりとりがいささか不自然に聞こえる。ポワロの台詞は原語だと 'Lesley Ferrier is never to see the rewards of his actions, the concealing of the codicil. (レスリー・フェリアは補足書を隠した見返りを得ることはありませんでした)' という表現で、マイケルは最初の報酬を渡すはずのタイミングで殺害している。
ドレイク夫人がジョイスにあげると言ってそそのかした「半シリング」は原語だと半クラウン(2シリング半)で、日本語は5分の1に値切られている。また、日本語ではポワロがドレイク夫人に「そして、しばらく経ってからようやくあなたは自分の服が濡れていることに気がついた」と言うので、ジョイス殺害から気づきまでのあいだに時間の経過があったように聞こえるが、原語は 'And only after when this deed so terrible it has been committed, you realise that you are soaking wet. (この実に恐ろしい行為を犯してしまったあとで初めて、あなたは自分がずぶ濡れになっていることに気づくのです)' という表現で、時間的な空白はない。
ポワロがレオポルド殺害の動機を指摘したあと、「〔ドレイク夫人は〕書斎を見て驚くという演技で疑惑の目を彼〔レオポルド〕に向けさせることに成功した!」と言うが、実際にドレイク夫人が驚いた演技した時点ではレオポルドに犯行を見られていたことを知らなかったはず。原語は 'and you use the glance towards the door of the library to divert suspicion onto him (書斎のドアのほうを見ていたことを利用して、疑いを彼に逸らした)' という表現で、本来は濡れた服を誤魔化すためだった演技を利用して、それがあたかもレオポルドを見たためだったかのように偽装を重ねたと言っている。だから、ドレイク夫人が書斎を見て驚いたふりをしたときではなく、レオポルドを見たとあとから嘘の打ち明け話をしたときの回想につながる。
ポワロが「まちがいなく彼女〔オルガの遺体〕はそこに眠っています! ただの庭であればその土は自然の循環に委ねられるでしょう」と言ったあと、「しかしあの庭は……マイケル・ガーフィールドによって回復不能までに冒された、悪の傑作だ!」と言った部分は、原語だと 'This garden... with which Michael Garfield is never satisfied—his masterpiece! (その庭は……マイケル・ガーフィールドが決して満足することがなかった――彼の傑作だ!)' という表現で、日本語よりももっと散文的に、マイケルがいつまでも満足しないがゆえに常に手が入れられ、自然の循環に任されてこなかった(から遺体が残っているはずだ)と言っている。
マイケルがドレイク夫人との関係について「これはみんな、金のためだ。当然だろ。それに、地中海の……小さな島を買ってそこに……新しい庭を……つくりたかった」と言ったところは、原語だと 'I did it all for the money. (みんな金のためにやったんだ) Of course I did. (当然だろ) And for the garden. (それから〔ここの〕庭のため) Actually I was thinking about buying... a little Greek island—start afresh. (実はギリシャの小さな島を買おうと思ってたんだ――新しいスタートさ)' という表現で、前半は金だけでなくドレイク家の庭の手入れをできる立場を手に入れるのも動機の一つだと言っている一方、後半はすでにドレイク夫人のもとを離れる心づもりだったということで、動機の説明ではない。もっとも、ギリシャの小島の購入資金はドレイク夫人との関係によって入手したのだろうけど。
- [1] ジャネット・モーガン (訳: 深町真理子, 宇佐川晶子), 『アガサ・クリスティーの生涯 下』, 早川書房, 1987, pp. 279, 285
- [2] Interview: Mark Gatiss | Books | The Guardian
- [3] Gatiss: Poirot blessed my wedding - BelfastTelegraph.co.uk
カットされた場面
なし
映像ソフト
- [DVD] 「名探偵ポワロ 46 ハロウィーン・パーティ」(字幕・吹替) ハピネット・ピクチャーズ,※1
- [DVD] 「名探偵ポワロ DVDコレクション 37 ハロウィーン・パーティー」(字幕・吹替) デアゴスティーニ・ジャパン※2
- ※1 「名探偵ポワロ NEW SEASON DVD-BOX 4」に収録
- ※2 吹替は大塚智則さん主演の新録で、映像もイギリスで販売されているDVDと同じバリエーションを使用
同原作の映像化作品
- [映画] 「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」 2023年 監督:ケネス・ブラナー 出演:ケネス・ブラナー