あなたの庭はどんな庭?
How Does Your Garden Grow?

放送履歴

日本

オリジナル版(44分00秒)

  • 1991年09月14日 22時00分〜 (NHK総合)
  • 1992年05月06日 17時05分〜 (NHK総合)
  • 1994年03月08日 17時05分〜 (NHK総合)
  • 1998年11月25日 15時10分〜 (NHK総合)
  • 2003年06月25日 18時00分〜 (NHK衛星第2)

ハイビジョンリマスター版(50分30秒)

  • 2016年03月19日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2016年08月24日 17時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2020年08月22日 17時09分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2021年11月08日 09時00分〜 (NHK BS4K)
  • 2022年10月26日 21時00分〜 (NHK BSプレミアム・BS4K)

海外

  • 1991年01月06日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 「あなたの庭はどんな庭?」 - 『黄色いアイリス』 クリスティー文庫 中村妙子訳
  • 「あなたの庭はどんな庭?」 - 『黄色いアイリス』 ハヤカワミステリ文庫 中村妙子訳
  • 「あなたのお庭をどうする気?」 - 『砂に書かれた三角形』 創元推理文庫 宇野利泰訳

原書

雑誌等掲載

  • How Does Your Garden Grow?, Ladies' Home Journal, June 1935 (USA)
  • How Does Your Garden Grow?, The Strand, August 1935 (UK)

短篇集

  • How Does Your Garden Grow?, The Regatta Mystery, Dodd Mead, 1939 (USA)
  • How Does Your Garden Grow?, Poirot's Early Cases, Collins, September 1974 (UK)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

名探偵ポワロ / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / DAVID SUCHET // HUGH FRASER / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / あなたの庭はどんな庭?, HOW DOES YOUR GARDEN GROW? / Dramatized by ANDREW MARSHALL / Script Consultant CLIVE EXTON

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / あなたの庭はどんな庭? // HUGH FRASER / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / HOW DOES YOUR GARDEN GROW? / Dramatized by ANDREW MARSHALL / Script Consultant CLIVE EXTON

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 アンドリュー・マーシャル 監督 ブライアン・ファーナム 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口芳貞 ミス・レモン 翠 準子  メアリ 新橋耐子 カトリーナ 池田昌子  藤田啓而 沼波輝枝 金内喜久夫 辻󠄁谷耕史 吉水 慶 安永沙都子 伊井篤史 / 日本語版 宇津木道子 山田悦司 福岡浩美 南部満治 金谷和美

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 アンドリュー・マーシャル クライブ・エクストン 演出 ブライアン・ファーナム 制作 LWT (イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬/安原 義人 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口 芳貞 ミス・レモン(ポーリン・モラン) 翠 準子  メアリ 新橋 耐子 カトリーナ 池田 昌子  藤田 啓而 沼波 輝枝 金内 喜久夫 辻󠄁谷 耕史 吉水 慶 安永 沙都子 伊井 篤史 小谷野 啓 野中 秀哲  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Captain Hastings: HUGH FRASER; Chief Inspector Japp: PHILIP JACKSON; Miss Lemon: PAULINE MORAN; Mary Delafontaine: ANNE STALLYBRASS; Henry Delafontaine: TIM WYLTON; Amelia Barrowby: MARGERY MASON; Katrina Reiger: CATHERINE RUSSELL; Nicholai: PETER BIRCH; Dr Sims: RALPH NOSSEK; Mr Harrison: JOHN BURGESS; Lucy: DORCAS MORGAN; Mr Trumper: TREVOR DANBY; Pathologist: JOHN ROGAN; Photographer: STEPHEN PETCHER; Police Constable: PHILIP PRAEGER / Developed for Television by Carnival Films / (中略) / Production Designer: MIKE OXLEY / Director of Photography: JASON LEHEL / Music: CHRISTOPHER GUNNING / Executive Producer: NICK ELLIOTT / Producer: BRIAN EASTMAN / Director: BRIAN FARNHAM

あらすじ

 フラワー・ショーで老婦人アメリア・バロビーと出会い、中身のない種袋を託されたポワロ。その意味をはかりかねつつマンションに戻ると、そこには彼女からの手紙が届いていた。しかし、ポワロが依頼に従ってその家に出向いたとき、すでに彼女は死んでいた……

事件発生時期

1935年5月下旬

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
アーサー・ヘイスティングスポワロの探偵事務所のパートナー、陸軍大尉
ジェームス・ジャップスコットランド・ヤード主任警部
フェリシティ・レモンポワロの秘書
アメリア・バロビー依頼人、富裕な老婦人
メアリ・デラフォンテンミス・バロビーの姪
ヘンリー・デラフォンテンメアリの夫
カトリーナ・レイガーミス・バロビーの話し相手
ルーシーローズバンク荘のお手伝い
シムズ医師
ニコライソ連大使館員

解説、みたいなもの

 原作ではミス・レモンがポワロの秘書として初登場するエピソードで、原作にも彼女が登場する数すくない作品の一つ。そこで今回は主にヘイスティングスがマンションで留守番をし、ミス・レモンがポワロの調査に同行して、事件解決にも重要なきっかけを提供する。一方、冒頭のフラワー・ショーの場面や種袋の謎、カトリーナの素性はドラマオリジナル。原作でポワロが真相をつかむ端緒になるのは、中途で終わった花壇の縁取りだった。本作品の設定や展開には「もの言えぬ証人」(の特に原作)と複数の類似が見られるが、原作短篇の前には「もの言えぬ証人」の原型となった未発表短篇「犬のボール」(『アガサ・クリスティーの秘密ノート 〔下〕』所収)が書かれていたとされ[1]、その次に書くことになった本原作に、お蔵入りとした設定や展開の一部を流用したのだろう。
 チェルシー・フラワー・ショーは、1913年以来、現在までほぼ毎年5月下旬にロンドンのチェルシー王立病院の中庭でひらかれている王立園芸協会主催のフラワー・ショーで、会場のロケ地やチケットに書かれた協会本部の住所も現地。会場の場面では、日本の浮世絵や和傘も見える。そのフラワー・ショーでポワロが「引退後は庭いじりをと考えていますが」と言う台詞は、原語だともうすこし具体的に 'One day I hope to retire to grow the vegetable marrows (いつか引退してトウガンを育てたいと思っていますが)' と言っており、のちに映像化された「アクロイド殺人事件」では実際に、引退先の村でトウガン栽培に勤しむポワロを見ることができる。この将来の夢をポワロが語るのは本作品の原作にない場面だが、「ビッグ・フォー」「ヘラクレスの難業」の原作でポワロが同様の意向を口にしている。また、そのあとにジャップ警部が園芸に詳しいところを披露するのもドラマオリジナルだが、原作では「ミューズ街の殺人」の元になった短篇「マーケット・ベイジングの怪事件」のなかに、「仕事から離れたジャップは熱心な植物学者で、信じられないほど長ったらしいラテン語名を持った小さな花々について、事件に当たるとき以上の熱心さで弁舌を振るうのだった(ラテン語の発音はすこしおかしかったが)」という記述がある。実際、ハイビジョンリマスター版でジャップ警部が「これは知らなかったな、フクシア」と言ったところは、原語だと 'Fuchsia triphylla flore coccinea. (フュージア・トライフィラ・フローア・コキネーア)' と、最初に発見されたフクシアの品種名をとても英語風に発音している。なお、フクシアはイギリスでも広く栽培される園芸植物で、警部がその存在を知らなかったとは考えにくく、日本語は、つづけて語られるフクシア発見の経緯を知らなかったという表明と受け取るべきか。
 ソビエト大使館のニコライの執務室にかけられた巨大な肖像画はスターリン、ホールの階段に飾られた胸像はレーニンのものである。執務室の出入口右手にかけられた肖像画は、左がレーニンで右はマルクスか。大使館のホールでのカトリーナとニコライの会話は、日本語音声ではわからないが、二人の母語であるロシア語で交わされている。
 ミス・バロビーのテーブルに置かれた園芸雑誌の表紙を飾っているポワロの写真は、「二重の罪」で訪れたミッドランド・ホテルの前で撮られたもの。
 バスルームから出てこないポワロについて、ミス・レモンとヘイスティングスが「髪の毛染めてるんじゃありません?」「でも男が?」というやりとりを交わすのは原作にない場面だが、「ABC殺人事件」原作には、ポワロが髪の毛を染めていることにヘイスティングスが思い至らず、ポワロが自分からヘイスティングスに伝える場面がある。ところで、その前のポワロが身繕いをしている場面では鏡にポワロの顔が映っているのが見えるが、その角度だとポワロからは自分が見えないのではないかしら。
 フラワー・ショーから帰宅してポワロのマンション外観が映る場面では、ハイビジョンリマスター版だと夕方らしく見せる色合いの調整がおこなわれておらず、前後の場面と比べてやけに日が高く見える。なお、実際の立地と影の向きから判断すると、太陽はほぼ真南にあり、撮影は正午頃におこなわれたと見られる。また、のちのポワロの「お茶の時間」はすでに午後をだいぶまわっていると思われるが、ミス・レモンが電話をかけた際に映るマンション外観の様子は、影の向きからフラワー・ショーからの帰宅時よりだいぶ早い時刻であることがわかり、こちらは午前中の撮影と推察される。
 「チャーマンズ・グリーン、ローズバンクってどこです?」というポワロの質問は、日本語だと「ローズバンク」まで含めて地名に聞こえるが、ローズバンクはミス・バロビーの家の名前で、ミス・レモンの回答もチャーマンズ・グリーンについてのもの。また、彼女はそれに「南の、サリー州に近い、緑の多いところですわ」と答えるが、その直前に映るミス・バロビーからの手紙の住所には Charman's Green, Surrey (サリー州チャーマンズ・グリーン) と書かれている。「サリー州に近い」の原語は borders of Surrey (サリー州の境) なので、実際には州境のサリー州側に位置すると見られる。
 ミス・バロビーが食後に聴いていた曲は、エルガーの「序曲とアレグロ」作品47。
 ローズバンク荘への最初の訪問時、その庭について交わされる「見事な庭ですね」「すてきですわ」というポワロとミス・レモンの会話は、原語だと 'A most orderly garden, is it not? (実に秩序だった庭ですね)' 'Very neat. (とても整っていますわ)' という表現で、花壇の縁取りが中途である違和感をより強調するものになっている。また、劇中でポワロが言及する「イギリスの有名な童謡」ことマザーグースは原作に書かれているものとは別バージョン。原作のマザーグースでは、1節目が Mistress Mary, quite contrary, (メアリさんはへそ曲がり) 3節目が With cockle-shells, and silver bells. (トリガイの殻にシルバーベル) となっている。
 シムズ医師に相当するローズバンク荘の主治医は原作にも(伝聞で)登場するが無名で、原作のシムズは地元警察の事件担当警部の名前である。ドラマではこの警部の役どころはジャップ警部に置き換えられ、名前が主治医にまわされた。
 ミス・バロビーの服薬についてシムズ医師が「ただ食間に、消化剤の粉末を一服ずつ」と言うが、原語では 'Just a cachet before meals to aid the digestion. (ただ食前に、消化を助ける薬包を一つ)' という表現で、服薬のタイミングは食前である。消化剤という性質からしても、ミス・バロビー殺害の手段として適合すると見られたことからしても、食間(食事と食事のあいだ)では矛盾を来すように思われる。
 ハイビジョンリマスター版でのみ見られる、ミス・バロビーの弁護士に会いに行った先では、 '"Pony Club" Competition Today; Judge Mr P. Harrison.' という貼紙に「ポニー乗馬大会 審判―ハリスン氏」という字幕が表示されるが、直接乗馬を競う場面は出てこず、実際におこなわれていたのはポニーの品評会と見られる。また、日本語音声のポワロは、その審判を務める弁護士の名前を「ハリソン」と発音する。
 デラフォンテン氏がカトリーナをコミュニストの活動家だと言ったのに対して、ジャップ警部が「そりゃすこし考えすぎじゃないですか」と言った台詞の原語は 'That's Boy's Own Paper stuff.' という表現で、 Boy's Own Paper とはかつて発行されていた青少年向けのイラスト入り小説紙。つまりは「それじゃまるでジュブナイル小説〔1930年代にこんな言い方はしないだろうけれど〕ですよ」ということ。
 ポワロが言及する、マルクスが宗教を「大衆のアヘン」と喩えたという逸話は、彼の論文である『ヘーゲル法哲学批判序説』の記述によるもので、宗教は現実の悩みを和らげ安らぎを与えるが、あくまで一種の逃避に過ぎないという趣旨の比喩である。ただ、その趣旨は作中のやりとりの文脈にあまり関係はなく、ニコライが、カトリーナの隠れ場所を連想させる回答を避けるかどうかを窺う手段だったと思われる。
 チャーマンズ・グリーンから一度帰宅したポワロへ、ヘイスティングスが「小包 (package) が届いてますよ」と言うが、ヘイスティングスが差し出したのは包みではなく封筒である。また、そのあと日本語音声で、ヘイスティングスがポワロから「君の推理は愉しいですねえ」と明らかに呆れられながらにこにこしているのは、原語だと 'How I missed your powers of deduction. (君の推理力を見誤っていましたよ)' と良くも悪くも取れる表現になっているため。
 フラワー・ショーの入場券によればその初日は1935年の 22nd MAY (5月22日)、ポワロがローズバンク荘を訪ねたのが早くてその翌日、そして終盤にデラフォンテン氏が読んでいる新聞の日付は MAY 23, 1935 (1935年5月23日)。そのデラフォンテン氏が新聞を読んでいる場面では、途中で一度引きあげたはずのシムズ医師がふたたびローズバンク荘にいることや、また会話や新聞記事の内容から、事件発生・捜査開始から一定の時間経過があったように感じられるが、実は捜査から解決まですべて同日の出来事なのだろうか。
 冒頭のソビエト大使館の外観を映した場面では、画面右下に糸のようなものが映り込んだり、また画面下辺に綿かスポンジ状の影が映り込んでいる。また、謎解きの場面でも、しばしば画面の右下や左下に糸のようなものが映り込んだり、また画面下辺に綿状の影が映り込んだりしている。これらの多くは、ハイビジョンリマスター版では映像の修正やトリミングによる対処が加えられているが、犯人が逃走を試みる場面の、画面左下の糸のようなものだけはそのまま残っている。
 ミス・バロビーから受け取った種袋を見てポワロが「ストックの種か」と言う台詞は、日本語音声のみのもの。種袋に英語で書かれた内容を視聴者に説明するための追加と見られる。また、ハイビジョンリマスター版で、ローズバンク荘への最初の訪問時に、庭でデラフォンテン夫人から「園芸会でお見かけしましたわ」と言われてポワロが「それはどうも、マダム」と応じるのも、日本語音声のみの台詞。こちらは熊倉一雄さんによるアドリブだろうか。
 ハイビジョンリマスター版では、冒頭のソビエト大使館の看板に「ソビエト大使館」、トランパー化粧品店の外観に「トランパー化粧品店」、シムズ医院の看板に「シムズ医院」という字幕が追加された。また、デラフォンテン氏が読んでいる新聞に重ねられた字幕は、オリジナル版だと「ロシア娘 殺人容疑で逮捕」となっていたのが、ハイビジョンリマスター版では「ロシア人女性 逮捕」と変更されている。しかし、ポワロの台詞に出てくる「ロシア娘」という表現はそのままである。
 ソビエト大使館の建物は、「西洋の星の盗難事件」でホテル・マグニフィセントに使われたフリーメイソンズ・ホール。ただし、ホテル・マグニフィセントとは違ってグレート・クイーン・ストリート側の入り口が使われている。また、ポワロがコロンを買い入れたトランパー化粧品店はロンドンのメイフェアに実在する1875年創業の老舗男性用化粧品店。そのショーウィンドウには HAIRDRESSER とも書かれているように理髪店を兼ねており、ハイビジョンリマスター版でヘイスティングスが、トランパー氏からの請求を一年分の散髪代と誤解したのもそのため。なお、ジュリア・マッケンジー主演「ミス・マープル6」の「終わりなき夜に生まれつく」でパブ〈ザ・レッド・ライオン〉の隣に見えるのは、セント・ジェームスにある支店である。シムズ医院前の通りが撮影されたのはハム・コモンのハム・ポンド西側、ハイビジョンリマスター版のみで見られる「ポニー乗馬大会」の会場はその北のハム・ハウスだが、シムズ医院の屋内はスタジオ内セット。これは、「スタイルズ荘の怪事件」でポワロが謎解きをした部屋と同じセットを、壁の色やドアの取っ手を変更し、ドアの左側にスイッチや照明を追加したものと見られる。ミス・レモンが電話ボックスからヘイスティングスに電話をかける場面が撮影されたのは、フラワー・ショーの会場と同じチェルシー王立病院の敷地内。カトリーナが身を寄せていたロシア正教会の外観が撮影されたのはロンドンのエニスモア・ガーデンズだが、内部はモスクワ・ロードにある聖ソフィア大聖堂での撮影である。ラストの警察署前の場面では、地面をよく見ると駐車スペースの標示を隠した跡が見える。
 フラワー・ショーで挨拶したポワロを撮影するカメラマンの一人は、「クラブのキング」のオグランダー氏兼「消えた廃坑」の7号車運転手。メアリ・デラフォンテン役のアン・ストーリーブラスは、フランセスカ・アニスとジェームス・ワーウィック主演の「二人で探偵を」の一篇、「霧の中の男」のハニコット夫人役のほか、ジョン・ネトルズ主演の「バーナビー警部」の一篇、「カラスの森が死を招く」にもエミリー・ミーカム役で出演。また、アミリア・バロビー役のマージェリー・メイスンは、「アガサ・クリスティ・アワー」シリーズの一篇、ニコラス・ファレル主演「エドワード・ロビンソンは男なのだ」のリシングロー夫人役でも見ることができる。カトリーナ・レイガー役のキャサリン・ラッセルは、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」の一篇、「ソア橋のなぞ」にグレース・ダンバー役で出演。
 本作から、ポワロのリビングの、ミス・レモンの仕事部屋とのあいだの窓の左側に飾られた絵が変更された。「西洋の星の盗難事件」までそこに飾られていたピカソの「ピアノ」は1950年代の制作で、劇中の時代に合っていなかったのが理由だろうか。なお、新たに飾られた「母と子」はやはりピカソの作品だが、その制作は1922年で、劇中の時代設定と矛盾しない。
 ロシア正教会などでカトリーナがかぶっている帽子は、「ダベンハイム失そう事件」でダベンハイム夫人が警察署を訪れた際にかぶっていた帽子の色ちがい。チャーマンズ・グリーンにおもむくミス・レモンが着ているグリーンのスーツは、1990年にクリスティーの生まれ故郷トーキーでクリスティー生誕100周年のイベントがひらかれた際にも、モランがミス・レモンとして同じ服を着用している。
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  1. [1] ジョン・カラン (訳: 山本やよい, 羽田詩津子), 『アガサ・クリスティーの秘密ノート 〔下〕』, 早川書房(クリスティー文庫), 2010, pp. 330-335

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[09:43/0:11]フラワー・ショーのテーブルでのポワロたちの会話の冒頭
[17:24/0:36]ヘイスティングスとトランパー氏の電話の後半
[20:20/1:14]ローズバンク荘の庭でのポワロとデラフォンテン夫妻との会話
[24:26/2:19]シムズ医師との会見の最後 〜 弁護士との会見
[43:12/1:52]事件解決後、ヘイスティングスの〈花粉症〉の原因が明らかになる場面

ハイビジョンリマスター版

なし

映像ソフト

  • [VHS] 「名探偵エルキュール・ポアロ 第21巻 あなたの庭はどんな庭?」(字幕) 日本クラウン
  • [DVD] 「名探偵ポワロ 12 あなたの庭はどんな庭?, 100万ドル債券盗難事件」(字幕・吹替) ビームエンタテインメント(現ハピネット・ピクチャーズ※1
  • [DVD] 「名探偵ポワロ [完全版] 12 あなたの庭はどんな庭?, 100万ドル債券盗難事件」(字幕・吹替) ハピネット・ピクチャーズ※2
  • [DVD] 「名探偵ポワロ DVDコレクション 44 あなたの庭はどんな庭?」(字幕・吹替) デアゴスティーニ・ジャパン※3
  • [BD] 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX Disc 6 スタイルズ荘の怪事件, あなたの庭はどんな庭?, 100万ドル債券盗難事件」(字幕/吹替) ハピネット・ピクチャーズ※4
  • ※1 「名探偵ポワロ DVD-BOX2」にも収録
  • ※2 「名探偵ポワロ [完全版] DVD-BOX1」「名探偵ポワロ [完全版] 全巻 DVD-SET」「名探偵ポワロ [完全版] DVD-SET 3」にも収録
  • ※3 吹替は大塚智則さん主演の新録で、映像もイギリスで販売されているDVDと同じバリエーションを使用
  • ※4 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX vol. 1」に収録
2024年3月8日更新