未映像化作品
Undramatized Episodes

短篇

The Lemesurier Inheritance (呪われた相続人)

 代々のルメジュリア家の長男は家督を継ぐ前に死亡していた。最近、長男のロナルドに事故が続くことに不安を覚えたルメジュリア夫人はポワロのもとを訪れるが……
 1923年発表。邦訳は、クリスティー文庫『教会で死んだ男』所収の「呪われた相続人」、創元推理文庫『ポワロの事件簿2』所収の「呪われた相続」ほか。「ルメジュリア」という名前のみ「ヘラクレスの難業」で使用された。

Poirot and the Regatta Mystery (ポワロとレガッタ)

 イヴは有名なダイヤ〈明けの明星〉を皆の前で見事に消し去って見せた。ところが彼女が種明かしをする段になってみると、〈明けの明星〉は本当になくなっていたという……
 1936年発表。邦訳は、雑誌『EQ』1994年5月号掲載の「ポワロとレガッタ」、論創社『十人の小さなインディアン』所収の「ポワロとレガッタの謎」ほか。本作はもともとパーカー・パインを探偵役に準備されたのが新聞への掲載に当たってポワロ物にリライトされたもので[1]、パーカー・パイン版の邦訳は、クリスティー文庫『黄色いアイリス』所収の「レガッタ・デーの事件」、創元推理文庫『砂に書かれた三角形』所収の「ヨット・レース事件」ほか。
  1. [1] Mark Aldridge, Agatha Christie's Poirot: The Greatest Detective in the World, p. 477, HarperCollinsPublishers, 2020

同プロットの作品がすでに映像化済の短篇

The Market Basing Mystery (マーケット・ベイジングの怪事件)

 休暇でマーケット・ベイジングを訪れたポワロ、ヘイスティングス、ジャップ警部の3人。ところが、近くの邸宅で不自然な射殺体が発見されて捜査に出向くことに……
 1923年発表。「ミューズ街の殺人」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『教会で死んだ男』所収の「マーケット・ベイジングの怪事件」、創元推理文庫『ポワロの事件簿2』所収の「マーキット・ベイジングの謎」ほか。

The Submarine Plans (潜水艦の設計図)

 ポワロとヘイスティングスが夜中に呼び出されたのは国防大臣アロウェイ卿の邸宅だった。なんと新型の潜水艦の設計図が盗まれたというのだが……
 1923年発表。「なぞの盗難事件」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『教会で死んだ男』所収の「潜水艦の設計図」、創元推理文庫『ポワロの事件簿2』所収の「潜水艦の設計図」ほか。

The Christmas Adventure (クリスマスの冒険)

 同居していたヘイスティングスが南米へ移住してしまったポワロは、クリスマス休暇をある老婦人の家で過ごしていた。しかし、その背後にはある目的が……
 1923年発表。「盗まれたロイヤル・ルビー」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『マン島の黄金』所収の「クリスマスの冒険」ほか。

The Mystery of the Baghdad Chest (バグダッドの大櫃の謎)

 パーティーの翌朝、リッチ少佐宅のバグダッド製の大櫃から友人クレイトンの死体が発見された。少佐とクレイトン夫人のあいだの親密な関係が動機の殺人と思われたが……
 1932年発表。「スペイン櫃の秘密」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『黄色いアイリス』及び『マン島の黄金』所収の「バグダッドの大櫃の謎」、創元推理文庫『砂に書かれた三角形』所収の「バグダッドの櫃の謎」ほか。

The Second Gong (二度目のゴング)

 時間に厳しい老人が晩餐の時間になっても姿を見せない。いぶかったポワロたちが書斎へ向かうと、老人は頭を撃ち抜かれて死んでいた。一見して自殺の状況ではあったが……
 1932年発表。「死人の鏡」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『黄色いアイリス』所収の「二度目のゴング」、創元推理文庫『砂に書かれた三角形』所収の「第二のドラ」ほか。

The Incident of the Dog's Ball (犬のボール)

 老婦人から手紙を受け取ったポワロとヘイスティングスがその村を訪ねると、老婦人は数か月前に死亡しており、直前に書き換えられた遺言で遺産は話し相手に渡っていた……
 2009年発表、推定執筆時期は1933年頃。「もの言えぬ証人」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『アガサ・クリスティーの秘密ノート〔下〕』所収の「犬のボール」ほか。

Hercule Poirot and the Greenshore Folly (ポアロとグリーンショアの阿房宮)

 ポワロはオリヴァ夫人からデヴォンの屋敷に呼び出される。何かおかしい気がするという夫人の言葉通り、犯人捜しゲームの被害者役の少女が死体となって発見される……
 2013年発表、推定執筆時期は1954年頃。「死者のあやまち」の原型。邦訳は、クリスティー文庫『ポアロとグリーンショアの阿房宮』ほか。

戯曲

Black Coffee (ブラック・コーヒー)

 著名な科学者のクロード・エイモリー卿は、爆薬の化学式を盗んだ未知の犯人に対して、明かりの消えているうちにそれを返せば不問に付すと言明。しかし、再び明かりがついたとき、卿は死んでいた。そこへ卿の依頼を受けたポワロが到着し、捜査を始めるが……
 1934年刊行。邦訳は、クリスティー文庫『ブラック・コーヒー』ほか。チャールズ・オズボーンによる小説化もあり。
2023年10月11日更新