ジョニー・ウェイバリー誘拐事件
The Adventure of Johnnie Waverly

放送履歴

日本

オリジナル版(45分00秒)

  • 1990年01月27日 22時00分〜 (NHK総合)
  • 1992年04月08日 17時05分〜 (NHK総合)
  • 1998年10月12日 15時10分〜 (NHK総合)
  • 2000年07月25日 15時10分〜 (NHK総合)
  • 2003年05月12日 18時00分〜 (NHK衛星第2)

ハイビジョンリマスター版(49分00秒)

  • 2015年11月07日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2016年04月20日 17時00分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2020年04月18日 17時10分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2021年10月13日 09時00分〜 (NHK BS4K)
  • 2022年01月26日 13時00分〜 (NHK BS4K)
  • 2022年06月22日 21時00分〜 (NHK BSプレミアム・BS4K)
  • 2022年09月17日 25時40分〜 (NHK BSプレミアム)
  • エンディング後半の画面左部に次回の放送案内の字幕表示あり

海外

  • 1989年01月22日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 「ジョニー・ウェイバリーの冒険」 - 『愛の探偵たち』 クリスティー文庫 宇佐川晶子訳
  • 「ジョニー・ウェイヴァリー誘拐事件」 - 『愛の探偵たち』 ハヤカワミステリ文庫 小倉多加志訳
  • 「ジョニー・ウェイヴァリーの冒険」 - 『二十四羽の黒ツグミ』 創元推理文庫 宇野利泰訳

原書

雑誌等掲載

  • The Kidnapping of Johnnie Waverly, The Sketch, 10 October 1923 (UK)
  • The Adventure of Johnnie Waverly, The Blue Book Magazine, June 1925 (USA)

短篇集

  • The Adventure of Johnnie Waverly, Three Blind Mice and Other Stories, Dodd Mead, 1950 (USA)
  • The Adventure of Johnnie Waverly, Poirot's Early Cases, Collins, September 1974 (UK)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

名探偵ポワロ / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / DAVID SUCHET // HUGH FRASER / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / ジョニー・ウェイバリー誘拐事件, THE ADVENTURE OF JOHNNIE WAVERLY / Dramatized by CLIVE EXTON

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / ジョニー・ウェイバリー誘拐事件 // HUGH FRASER / PHILIP JACKSON / PAULINE MORAN / THE ADVENTURE OF JOHNNIE WAVERLY / Dramatized by CLIVE EXTON

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 クライブ・エクストン 監督 レニー・ライ 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口芳貞 ミス・レモン 翠 準子  ウェイバリー 樋󠄁浦 勉 ウェイバリー夫人 一柳みる  吉田理保子 前田敏子 宮内幸平 上田敏也 中村幸介 石森達幸 津田英三 森  一 / 日本語版 宇津木道子  山田悦司

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 クライブ・エクストン 演出 レニー・ライ 制作 LWT (イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ヘイスティングス(ヒュー・フレイザー) 富山 敬/安原 義人 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口 芳貞 ミス・レモン(ポーリン・モラン) 翠 準子  ウェイバリー 樋󠄀浦 勉 ウェイバリー夫人 一柳 みる 吉田 理保子 前田 敏子 宮内 幸平 上田 敏也 中村 幸介 石森 達幸 津田 英三 森 一 松田 尚樹  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Captain Hastings: HUGH FRASER; Chief Inspector Japp: PHILIP JACKSON; Miss Lemon: PAULINE MORAN; Marcus Waverly: GEOFFREY BATEMAN; Ada Waverly: JULIA CHAMBERS; Johnnie Waverly: DOMINIC ROUGIER; Tredwell: PATRICK JORDAN; Jessie Withers: CAROL FRAZER; Miss Collins: SANDRA FREEMAN; Rogers: ROBERT PUTT; Hughes: PATRICK CONNOR; Sergeant: PHILLIP MANIKUM; Constable: JONA JONES; Policeman: JONATHAN MAGNANTI; Barmaid: SAMANTHA BECKINSALE / Developed for Television by Picture Partnership Productions / (中略) / Production Designer: MIKE OXLEY / Director of Photography: PETER JESSOP. BSC / Music: CHRISTOPHER GUNNING / Executive Producers: NICK ELLIOTT, LINDA AGRAN / Producer: BRIAN EASTMAN / Director: RENNY RYE

あらすじ

 身代金を支払わなければ息子を誘拐するという脅迫状がウェイバリー家に届いた。しかし、警察は捜査に乗り気でなく、氏はポワロのところへ相談に訪れる。結局、ポワロと警察がウェイバリー邸に赴くが、ジョニーは目の前で誘拐されてしまう……

事件発生時期

某年某月下旬

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
アーサー・ヘイスティングスポワロの探偵事務所のパートナー、陸軍大尉
ジェームス・ジャップスコットランド・ヤード主任警部
フェリシティ・レモンポワロの秘書
マーカス・ウェイバリー依頼人、地方の地主
エイダ・ウェイバリーマーカスの妻
ジョニー・ウェイバリーウェイバリー夫妻の息子
トレッドウェルウェイバリー家の執事
ジェシー・ウィザースジョニーの乳母
ミス・コリンズウェイバリー夫人の秘書
ジョー・ロジャースホームレス

解説、みたいなもの

 放送順では3番目、撮影順では2番目にあたるエピソードだが[1]、本制作の開始前、テレビ局への売り込みに用いられたのは本作の脚本だったという[2]。そんな本作の展開は、脅迫状段階で依頼があったためにポワロが現場に出向いている以外、ジョニー少年誘拐までは原作とほぼ同じ流れで進むが、総じて原作の流れに沿っていた前2話とは違って、その後は犯行に関わる内容にもアレンジが加えられている。また、原作で事件の捜査に当たっていたのは準レギュラーのマクニール警部だったが、ドラマではジャップ警部に置き換えられた。このように原作の捜査関係者をジャップ警部に置き換える脚色は今後のエピソードでも何度か見られ、これはヘイスティングスやジャップ警部、ミス・レモンがいてこそポワロのキャラクターが引き立つというプロデューサーのブライアン・イーストマンの強い信念が反映された結果ながら、こうした脚色に対し、クリスティーの娘のロザリンドは一貫して反対だったという[3]
 ウェイバリー氏の身分である「地方の地主 (country squire)」は、その敬称が「氏 (Mr)」であるように爵位のある貴族ではないが、かつて貴族に次ぐ階級であった騎士などが地域の名家となった家柄で、貴族に準じて上流階級の一員とされる(イギリスにおける「上流階級 (upper class)」は単なる富裕層ではなく、広大な土地を所有し、その収益で生活を成り立たせる層を指す)。旧家の当主であるウェイバリー氏と資産家出身の夫人という夫婦の設定は、19世紀の終わり頃から社会情勢の変化で旧家の地位が衰退していくなか、資金力を求める旧家と歴史的権威を求める資産家との思惑の一致によって実際によく見られた関係であり、イギリス国内にとどまらず、しばしばアメリカから資産家の娘を迎えることもあった。
 スコットランド・ヤードの入り口が映った際に聞こえるのは、そのすぐ南に位置する国会議事堂の時計塔の鐘、通称ビッグベンの音。この鐘は15分ごとに鳴らされるが、それが何分かによって奏でるメロディーが異なり、ここで聞こえるのは毎時0分か30分に鳴らされるメロディーの冒頭部分。ハイビジョンリマスター版では、この場面に「ロンドン警視庁」という字幕が追加されている。
 ウェイバリー氏がポワロを「ハーキュリーズ・ポワロさんだ」と紹介し、ポワロに「ベルギー風に言えば、エルキュールです」と訂正される場面があるが、「ハーキュリーズ」と「エルキュール」はそれぞれ、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスの英語表現とフランス語表現。読みだけでなく、つづりも Hercules と Hercule で異なる。なお、中国の人名や地名を日本で日本語風に読みくだすことがあるように、ヨーロッパでも他国(他言語)の固有名詞を自国風に読みくだすことはままある。
 ヘイスティングスが参加するという「24時間レース」あるいは「ル・マン」とは、フランス北西部の同地でおこなわれる24時間耐久の自動車レースのこと。ハイビジョンリマスター版の日本語ではヘイスティングスがラゴンダチームへの参加を打診して認められたと話すが、原語は 'You remember I was trying to enter the Lagonda. (僕がラゴンダをエントリーしようとしてたのを憶えてるでしょう?)' という台詞で、自分の車であるラゴンダ(社製の車)でレースへの参加を打診したと言っており、それを認めたのもラゴンダチームではなくレースの主催者と受け取れる。「別のラゴンダにはトミー・ブランストンが乗る (There is another Lagonda entered by Tommy Branston.)」という台詞も、ヘイスティングスのほかにもう一人、ラゴンダ社製の車でエントリーして認められた人物がいるということ。なお、ラゴンダ社の車は実際に1935年のル・マン24時間レースを制して優勝しているが、その関係者にトミー・ブランストンという名前はないようだ。
 ポワロが「イギリス式ディナーには誰も期待はしませんよ。でも、イギリス式朝食は」と言うように、食事がまずいというステレオタイプがあるイギリスでも朝食はおいしいとされ、作家のサマセット・モームが「イギリスでおいしいものを食べたければ、一日に三度朝食をとることだ」と述べたという逸話がよく引きあいに出される。その内容は多彩でボリュームがあり、「黄色いアイリス」ハイビジョンリマスター版でのヘイスティングスの朝食を例に取れば「おかゆ〔オートミール〕に卵、ソーセージとベーコン、トマト、トーストにはマーマレード、それに紅茶」(ちなみに、トマトはたいてい焼いてある)。ほかにベイクトビーンズやマッシュルーム、ジュースなどが出ることもある。もっとも、「エンドハウスの怪事件」原作によれば、「ポワロは断固として大陸式朝食にこだわる」そうだけど。なお、前晩に見られたような正装でのディナーに対し、平服で各々ビュッフェ式の朝食をとるのは、こうした屋敷において通例の習慣である。
 車の速度についてポワロが「キロメートル?」と訊いてヘイスティングスに「マイル」と返される場面があるように、ポワロの祖国のベルギーは19世紀からメートル法を採用してきたのに対し、イギリスでは現在に至るまでヤード・ポンド法が慣用的に根強く残っている。そのため、ジョニーの誘拐経路を検討する会話のなかでもポワロはメートル法を用いているし、イギリス人であるウェイバリー氏が館から墓地までの距離を日本語で「1キロほど」と言ったところは、原語だと about half a mile (半マイルほど) とヤード・ポンド法で表現されていた。なお、1マイルは約1.6キロメートルに相当し、ヘイスティングスの車の時速80マイルは、メートル法なら時速約130キロメートルになる。
 途中でポワロが花を摘んで上着の襟にとめる場面があるが、いつものブローチをつけていない姿はめずらしい。そのブローチについてはのちの「チョコレートの箱」で秘められた思い出が語られるが、思い出もブローチ自体もドラマオリジナルの要素で、関連する記述は原作に存在しない。一方、ポワロがボタンホールに花を挿しているという記述は「ホロー荘の殺人」原作に存在する。しかしポワロが襟にとめた花は、ヘイスティングスの車が動かなくなったところで、いつのまにかなくなってしまう。また、原作では『スタイルズ荘の怪事件』にポワロが片足を引きずっているという描写があるが、ドラマで片足をかばうように歩くポワロが見られるのは、この作品の、ヘイスティングスの車を置いてウェイバリー館へ徒歩で向かう場面くらい。ただ、これは単に疲労した状態でステッキをついて歩いているためにそう見えているだけで、意図した演技ではないかもしれない。
 ヘイスティングスの車が動かなくなった場所に立っている FOOTPATH (フットパス) という案内は、牧場などの私有地内であっても通行を認められた、徒歩用の道の存在を示すもの。昔から人々の利用に供されてきた道は、その土地の所有者であっても他者の利用を制限できるべきではないという考え方に基づいて法律で通行権が保障されており、イギリスの地方には同様の道が多数張り巡らされている。
 ポワロとウェイバリー氏がジャップ警部のオフィスを訪ねた際に応対したのは、「コックを捜せ」でトッド家を再訪した際に、ポワロをフランス人と誤解したのと同じ巡査。そして、ジャップ警部がウェイバリー館へ引き連れてきた巡査部長も、一緒にトッド家にいた人物である。ただしその日本語吹替は、巡査が中村秀利さんから森一さんへ、巡査部長が村松康雄さんから津田英三さんへ交代している。
 ウェイバリー氏がポワロのマンション前でタクシーを下りる場面や、ポワロとウェイバリー氏がウェイバリー館に車でやってくる場面などでかかる劇伴のメロディーは、作曲家のクリストファー・ガニングが、このドラマシリーズのメインテーマ候補として作曲したなかでいちばんに推していたものだったという[4]
 ロジャースが持っていた手紙は、日本語だと「支払いが遅い。いいか、息子の身代金は7万ポンドに上げる。どんなに厳重に警備しても、息子は予告どおり本日、正午ジャストに誘拐する」と相変わらず予告の文面だが、原語は 'You should have paid up. (支払っておけばよいものを) To ransom your son will now cost you seventy thousand. (息子の身代金は7万ポンドに上げる) In spite of all your precautions he has been abducted at twelve o'clock on the twenty-ninth as I said. (厳重な警備もむなしく、予告どおり息子は29日正午に誘拐した)' と完了の時制で、犯人が誘拐実行時に置いていくことを想定していたと読める表現になっている。また、それを読んだウェイバリー氏が「支払いが遅い? おまえたちは――」と言ったところは、日本語だと何を言いかけたのかわかりにくいが、原語は 'I should have paid up, should I? (支払っておけばよかったかな?) You think you could— (よもやまんまと――)' という表現で、誘拐を防いだと信じて余裕を見せていると受け取れる。また、ここでの(すくなくとも think の主語である) you はロジャースひとりを指しているように思われるが、日本語は邸内にいるとされた共犯者も含めて複数人ととらえたのだろうか。
 ロジャースが言う「上だけ生やしてよ」は、ポワロでなくてもわからないのではないかしらん。原語で「上だけ」に対応する単語は 'tache で、口髭を表す moustache の略語である。
 ジャップ警部がロジャースを逮捕した浮浪罪の根拠となる浮浪取締法は、1935年6月6日の改正によって、目に見える生活手段を持たないという要件が廃止された一方、保護施設への入所の拒否や、実害あるいはそのおそれのある浮浪にその対象を限るよう改定された[5]。警部とロジャースのやりとりからは、劇中はその改正より前の時期であると推察される。
 ウェイバリー館のロケ地は、ハートフォードシャーにあるルータム・パーク。ウェイバリー館の建物について、ウェイバリー氏が「1760年に館が火事で焼けたあとに建てられたんです」と言う台詞があるが、ルータム・パークの建物もそれとほぼ同時期の1754年に設計され、1883年に火事の被害に遭ったが元と同じデザインで修復された[6]。ただ、劇中に登場する〈神父の抜け穴〉は、カトリックが迫害されていた16世紀後半から17世紀はじめによくつくられたもので、館の建設時期とはあわない(原作に、館の建設時期に関する言及はない)。日本語ではウェイバリー氏が「ここは新しいんです」とも言うので、新しいのはあくまで玄関周辺であって、ほかに400年前から残る古い別棟ないしは部分があるように聞くこともできるが、原語では火事で消失した以前の館との比較で新しいと言っていることが明瞭であって、残念ながら〈神父の抜け穴〉はなさそうである。ちなみに、劇中で〈神父の抜け穴〉の入り口となっている本棚に模した扉は、実際は廊下への扉であり、別の場所で撮影したと見られるトンネルの場面と編集でつないでいる。また、このルータム・パーク邸内は、ジュリア・マッケンジー主演「ミス・マープル4」の「魔術の殺人」でもストーニーゲイツ邸内の一部として撮影に使われており、そちらでも階段横に秘密の通路の出口があることになっているが、こちらも撮影のために偽の壁を張り出して設えたものと見られる。一方、本作の食堂の場面では、ドア横や照明の横の壁に、現代的な設備を隠したと思われる箱状のものがつけられているのがわかる。また、劇中で同じ場所は見られないが、 BBC 制作「そして誰もいなくなった」で兵隊島の館の地下として使われているのも、ルータム・パーク邸内である。
 ポワロとウェイバリー氏が乗った汽車は、「コックを捜せ」で湖水地方と往復する汽車の車内として撮影に使われたブルーベル鉄道で、最後に登場する駅はそのホーステッド・ケインズ駅である。
 ハイビジョンリマスター版で見られる、ポワロとヘイスティングスが昼食をとる場面が撮影されたパブは、バッキンガムシャーのタービルという村にあるブル・アンド・ブッチャー。マイケル・キッチン主演の「刑事フォイル」でタービルがロケ地になった「侵略」では、このパブの主人をジャップ警部役のフィリップ・ジャクソンが演じた。タービルはほかに、ヘレン・ヘイズ主演「魔術の殺人」では駅からストーニーゲイツへ向かう途中の村、ジェラルディン・マクイーワン主演の「ミス・マープル2」の一篇「親指のうずき」ではファレル・セント・エドマンド村、デビッド・ウォリアムズとジェシカ・レイン主演の「トミーとタペンス ―2人で探偵を―」シリーズではベレスフォード家の最寄りの村として撮影に使われているほか、マクイーワン主演「ミス・マープル」シリーズのミス・マープルの家および「牧師館の殺人」の牧師館も、その教会のコテージと牧師館である。また、村からの帰り道が撮影されたのは、タービル南のドールズデン・レーンと、ルータム・パーク北のベントリー・ヒース・レーンか。ヘイスティングスとポワロが車で歌う歌は、 'One Man Went to Mow' と呼ばれる数え唄。オリジナル版では歌の場面はほとんどカットされているが、ヘイスティングスが「あ、こりゃまずい、エンジンが」と言った台詞は、原語だとこの数え唄の一節を歌いかけたところだった。
 オリジナル版ではエンディングクレジットの表示のされ方が前後の作品と異なり、まず原作、次に脚本・監督・制作が1画面に表示され、出演以降が通常通りのスクロール表示になる。
 ハイビジョンリマスター版の放送データに載っているあらすじには「400年の歴史を持つウェイバリーの館」と書かれているが、前述のとおり館は1760年に再建されており、その築年数は175年ほどと見られる。2021年以降の放送では「400年の歴史を持つウェイバリー家の館」という表現に変更され、「400年の歴史を持つ」のは館ではなくウェイバリーの一族であると読める。
 » 結末や真相に触れる内容を表示
  1. [1] David Suchet and Geoffrey Wansell, Poirot and Me, headline, 2013, pp. 57-58
  2. [2] Mark Aldridge, Agatha Christie's Poirot: The Greatest Detective in the World, HarperCollinsPublishers, 2020, p. 374
  3. [3] Mark Aldridge, Agatha Christie on Screen, Palgrave Macmillan, 2016, p. 269
  4. [4] 「さよならポワロ! 〜世界が愛した名探偵・25年の軌跡〜」
  5. [5] Vagrancy Act 1935
  6. [6] Wrotham Park Hertfordshire - History

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[02:06/1:09]ミス・レモンが完成間近のファイリングシステムを披露する場面
[03:12/0:29]ヘイスティングスが24時間レースの登録書をミス・レモンに見せる場面
[12:20/0:41]ウェイバリー邸でのディナーの場面後半
[16:32/0:01]フェードイン前のBGMのみ鳴っている部分
[19:08/1:44]ジャップ警部がウェイバリー邸に部下を配置する場面 〜 ポワロとヘイスティングスが村で食事をとる場面 〜 館で警戒する警官たち 〜 帰りの車でポワロとヘイスティングスが歌を歌う場面

ハイビジョンリマスター版

なし

映像ソフト

  • [VHS] 「名探偵エルキュール・ポアロ 第36巻 ジョニー・ウェイヴァリー誘拐事件」(字幕) 日本クラウン
  • [DVD] 「名探偵ポワロ 2 ジョニー・ウェイバリー誘拐事件, 24羽の黒つぐみ」(字幕・吹替) ビームエンタテインメント(現ハピネット・ピクチャーズ※1
  • [DVD] 「名探偵ポワロ [完全版] 2 ジョニー・ウェイバリー誘拐事件, 24羽の黒つぐみ」(字幕・吹替) ハピネット・ピクチャーズ※2
  • [DVD] 「名探偵ポワロ DVDコレクション 26 ジョニー・ウェイバリー誘拐事件」(字幕・吹替) デアゴスティーニ・ジャパン※3
  • [BD] 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX Disc 1 コックを捜せ, ミューズ街の殺人, ジョニー・ウェイバリー誘拐事件, 24羽の黒つぐみ」(字幕/吹替) ハピネット・ピクチャーズ※4
  • ※1 「名探偵ポワロ DVD-BOX1」にも収録
  • ※2 「名探偵ポワロ [完全版] DVD-BOX1」「名探偵ポワロ [完全版] 全巻 DVD-SET」「名探偵ポワロ [完全版] DVD-SET 1」にも収録
  • ※3 吹替は大塚智則さん主演の新録で、映像もイギリスで販売されているDVDと同じバリエーションを使用
  • ※4 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX vol. 1」に収録
2024年4月17日更新