雲をつかむ死
Death in the Clouds

放送履歴

日本

字幕版

  • 1992年10月04日 19時20分〜 (NHK衛星第2)

オリジナル版(99分00秒)

  • 1992年12月31日 15時40分〜 (NHK総合)

ハイビジョンリマスター版(102分00秒)

  • 2016年06月04日 15時00分〜 (NHK BSプレミアム)※1
  • 2016年11月09日 16時00分〜 (NHK BSプレミアム)※2
  • 2020年11月07日 16時18分〜 (NHK BSプレミアム)
  • 2021年11月23日 09時00分〜 (NHK BS4K)
  • 2023年01月18日 21時00分〜 (NHK BSプレミアム・BS4K)※3
  • ※1 エンディング冒頭の画面上部に次回の放送案内の字幕表示(帯付き)あり
  • ※2 エンディング冒頭の画面下部に次回の放送時間案内の字幕表示(帯付き)あり
  • ※3 BSプレミアムでの放送は、オープニング冒頭の画面左上にBS4K同時放送のアイコン表示あり

海外

  • 1992年01月12日 (英・ITV)

原作

邦訳

  • 『雲をつかむ死』 クリスティー文庫 田中一江訳
  • 『雲をつかむ死』 クリスティー文庫 加島祥造訳
  • 『雲をつかむ死』 ハヤカワミステリ文庫 加島祥造訳
  • 『大空の死』 創元推理文庫 松元寛訳
  • 『マダム・ジゼル殺人事件』 新潮文庫 中村妙子訳

原書

  • Death in the Air, Dodd Mead, 10 March 1935 (USA)
  • Death in the Clouds, Collins, July 1935 (UK)

オープニングクレジット

日本

オリジナル版

名探偵ポワロ ♦︎ スペシャル / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / DAVID SUCHET // PHILIP JACKSON / 雲をつかむ死, DEATH IN THE CLOUDS / Dramatized by WILLIAM HUMBLE

ハイビジョンリマスター版

名探偵ポワロ / DAVID SUCHET / AGATHA CHRISTIE'S POIROT / 雲をつかむ死 // PHILIP JACKSON / DEATH IN THE CLOUDS / Dramatized by WILLIAM HUMBLE

エンディングクレジット

日本

オリジナル版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 ウィリアム・ハンブル 監督 スティーブン・ウィティカー 制作 LWT(イギリス) / 出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉一雄 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口芳貞  ジェーン 高島雅羅 セシリー 戸田恵子 ノーマン 田中秀幸 ホーバリ 伊藤和晃 アン 勝生真沙子  梨羽由記子 大木民夫 曽我部和恭 鈴置洋孝 有本欽隆 塚󠄀田正昭 浅井淑子 島美弥子 島香 裕 金尾哲夫 巴 菁子 梅津秀行 / 日本語版 宇津木道子  山田悦司 福岡浩美 南部満治 金谷和美

ハイビジョンリマスター版

原作 アガサ・クリスティー 脚本 ウィリアム・ハンブル 演出 スティーブン・ウィッテカー 制作 LWT (イギリス)  出演 ポワロ(デビッド・スーシェ) 熊倉 一雄 ジャップ警部(フィリップ・ジャクソン) 坂口 芳貞  ジェーン 高島 雅羅 セシリー 戸田 恵子 ノーマン 田中 秀幸 ホーバリ 伊藤 和晃 アン 勝生 真沙子  梨羽 侑里 大木 民夫 曽我部 和恭 鈴置 洋孝 有本 欽隆 塚󠄀田 正昭 浅井 淑子 島 美弥子 島香 裕 金尾 哲夫 巴 菁子 梅津 秀行 小原 雅一 里見 圭一郎 高階 俊嗣  日本語版スタッフ 翻訳 宇津木 道子 演出 山田 悦司 音声 金谷 和美 プロデューサー 里口 千

海外

オリジナル版

Hercule Poirot: DAVID SUCHET; Chief Inspector Japp: PHILIP JACKSON; Jane Grey: SARAH WOODWARD; Norman Gale: SHAUN SCOTT; Lady Horbury: CATHRYN HARRISON; Lord Horbury: DAVID FIRTH; Venetia Kerr: AMANDA ROYLE; Inspector Fournier: RICHARD IRESON; Anne Giselle: JENNY DOWNHAM; Madame Giselle: EVE PEARCE; Daniel Clancy: ROGER HEATHCOTT; Jean Dupont: GUY MANNING; Elise: GABRIELLE LLOYD; Mitchell: JOHN BLEASDALE; Raymond Barraclough: HARRY AUDLEY; Airline Clerk: YVES AUBERT; Zeropoulos: GEORGE ROSSI; Policeman: NICK MERCER; Receptionist: HILARY WATERS; Concierge: HANA MARIA PRAVDA; Hotel Clerk: RAYMOND SAWYER; French Registrar: RUSSELL RICHARDSON / Developed for Television by Carnival Films; (中略) Production Designer: MIKE OXLEY; Director of Photography: IVAN STRASBURG; Music: CHRISTOPHER GUNNING; Executive Producer: NICK ELLIOTT / Producer: BRIAN EASTMAN; Director: STEPHEN WHITTAKER

あらすじ

 パリで金貸しを営む老婦人がポワロの乗り合わせた飛行機の中で死に、傍らには南米の原住民が使う吹き矢が落ちていた。しかし、飛行機が苦手なポワロは、眠っていたせいでその殺人を見逃してしまった。自らの名誉を回復するため、ポワロは捜査を始める……

事件発生時期

1935年6月 〜 7月

主要登場人物

エルキュール・ポワロ私立探偵
ジェームス・ジャップスコットランド・ヤード主任警部
ジェーン・グレイスチュワーデス
ノーマン・ゲイル歯科医
セシリーホーバリ卿夫人、元女優
スティーブンホーバリ卿、セシリーの夫
ベネシア・カー貴族令嬢、ホーバリ卿夫妻の友人
ジャン・デュポン考古学者
ダニエル・クランシー探偵作家
マリー・ジゼルパリの金貸し
アン・リチャーズマダム・ジゼルの娘
エリーズ・グランディエマダム・ジゼルのメイド
ミッチェルスチュワード
レイモンド・バラクラフ俳優、レディー・ホーバリの友人
フルニエパリ警視庁警部

解説、みたいなもの

 「海上の悲劇」以来の海外ロケがおこなわれた、フランスの首都パリを舞台とするエピソード。ドラマでは原作以上にその舞台をフランスに置いており、原語音声にはフランス語の台詞がいくつもあるが、日本語音声ではほぼすべて日本語に訳してしまっている。その際、そのまま訳せない箇所(たとえば、ポワロがエリーズとフランス語で話し、その内容をジェーンに英語で説明する場面など)は、日本語だけでも意味が通るような別のやりとりに置き換えられた。そのため、日本語だとジャップ警部もフランス人と直接に会話を成り立たせているが、原作には警部がデュポンにフランス語で説明したり、またフルニエ警部のフランス語を理解して反応したりする場面があり、そのほうが原作に準じた形ではある。ところで、パリでの撮影では、スーシェが « Bonjour, mes ami. » などと簡単なフランス語で挨拶したところ、フランス語が話せると誤解され、フランス人スタッフにフランス語で話しかけられて難儀する一幕があったという[1]
 原題 Death in the Clouds の in the clouds には、「非現実的な」、「空想じみた」という慣用的意味があり、南米原住民の毒矢による殺人という非常に〈古典的〉な犯行と、航空機の中という当時もっとも近代的な現場とを結びつけた突飛な事件の状況設定にかけられている。もっとも、クリスティー自身は当時の航空会社をまだ未熟なものと見なしていたようだけれど[2]
 原作の主要な登場人物のうち、考古学者のデュポン父子は息子のジャン1人に統合、次席スチュワードのデイビスもジェーンに統合されてジェーンがスチュワーデスに変更された。また、耳鼻科医のドクター・ブライアントと実業家のライダー氏もカット。フルニエ警部はカットこそされていないが、ポワロの捜査の同行者がジャップ警部やジェーンに変更されたため、気の毒にも活躍の場がほとんどなくなってしまった。さらに「名探偵ポワロ」オリジナル版では、デュポンとジェーンがパリで会う場面がごっそりカットされ、飛行場をあとにしてからポワロの謎解きが始まるまで、デュポンは一度も姿を見せない。一方、ドラマでは飛行機の出発より前の場面が大きく追加されており、レディー・ホーバリのマダム・ジゼルや周囲との軋轢が描かれて、彼女が事件の主要な容疑者として強調されている。また、マダム・ジゼルの娘のアンの登場も早い。ヘイスティングスが登場せず、ポワロとジャップ警部だけで捜査がおこなわれるエピソードは本作が最初である。
 この作品の時代設定については、『テレビ版 名探偵ポワロ』の中に、「全仏オープン・テニス・トーナメントでフレッド・ペリーが優勝し、彼がグランドスラムを達成した1936年に設定しました」というプロデューサーのブライアン・イーストマンの発言があるが[3]、実際にペリーがグランドスラムを達成したのは1935年で、フルニエ警部のオフィスにあるカレンダーの日付も同年。しかし、ポワロたちが乗るプロペラ旅客機〈ダグラス DC-3〉の就航は1936年[4]、劇中にアバンギャルドの美術館として登場するパレ・ド・トーキョーの竣工は1937年。一方、ノーマンの所持品にあった雑誌『ストランド』は表紙に 1/- JUNE (1シリング 6月号) と書かれているが、米版1936年11月号、あるいはそれに対応する英版某号の、刊行月(と価格)を置き換えたもののようだ(すくなくとも英版1935年6月号および1936年6月号は表紙が劇中のものと異なり、1936年6月号なら「ポワロとレガッタ」掲載号でもある)[5][6][7]。なお、原作が発表されたのは1935年で、その執筆時期と作中の舞台は1934年である[2]
 ポワロたちが滞在したパリのホテルには H, C, E の文字を組みあわせたロゴが随所に見られる。劇中で映るホテルの名前は小さくて判読が難しいが、撮影がおこなわれたのは、実際にはシャンゼリゼ劇場 (Théâtre des Champs-Elysées) という劇場で、ホテルのロゴは、これをもじった「オテル・デ・シャンゼリゼ (Hôtel des Champs-Elysées)」の頭文字を取ったものか。なお、実際のシャンゼリゼ劇場は、当時大きな物議を醸した、ストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」の初演がおこなわれた場所として知られる。
 ノーマンが言及するジェーンと同じ名前の女王とは、16世紀中期のイングランドの女王ジェーン・グレイのこと。ブラッディー・メアリの異名を持つメアリ一世によって在位わずか9日にして廃位され、九日間の女王とも呼ばれる。
 テニス観戦後の帰国の途のル・ブールジェ空港で、ノーマンがポワロに「あなたもジェーンさんをご存じで?」と訊くが、ハイビジョンリマスター版ではその前にテニスの会場で3人で会話する場面がある。オリジナル版ではその会話の場面がすべてカットされており、ポワロとノーマンはここが初対面になるので台詞の内容を原語と変更したものと見られるが、カットのないハイビジョンリマスター版でも同じ音声をそのまま使用したために、話の展開と台詞の内容が食い違っている。また、そのあとにポワロが「われわれテニスを観にパリへ来て、テニスが終わって帰るってわけです」と言うのも、ポワロのテニス観戦は偶然なのでカットと関係なくすこし不自然だが、原語では「われわれ」でなく you (あなた方) となっており、ポワロ自身を含まない表現になっている。
 ポワロたちの乗った旅客機には、ポワロたちのいたファーストクラスの客室のほかに、レディー・ホーバリのメイドがいたエコノミーの(とは日本語でしか言っていないけれど)客室が前方にもう一つあることになっており、この設定は原作のとおりなのだが、撮影に使われた〈ダグラス DC-3〉の実際の客室は一室で、そこに3席×7列の客席があっただけだった[4]。劇中ではファーストクラスの席だけで5列あるので、ほかにエコノミーの客室があったとしても、空間的にも相当エコノミックになるはずである。原作当時にロンドン・パリ間で現実に運行されていたのは〈アームストロング・ホイットワース アーゴシー〉と〈ハンドレページ H.P.45〉の2機種で、原作で描かれた飛行機は、より大型で実際に客室が2室あった後者と見られるが、その実機は第二次大戦中にすべて失われており、同時代機ながら比べて小型の〈ダグラス DC-3〉で代用したためにこの齟齬が生じている。なおアニメーションではあるが、宮崎駿監督の映画「魔女の宅急便」のオープニングで主人公のキキを追い越していく飛行機が、本来の〈ハンドレページ H.P.45〉である(ただし、主翼は実際より長く改変されて描かれている)。
 ポワロが遺体の傍らで発見した吹き矢がアップになった際、前後の場面とは模様が異なり、別のものであることがわかる。また、ポワロの前の席で発見された吹き矢の筒と、そのあとジャップ警部がレディー・ホーバリに見せた筒も模様が異なり、後者はポワロがクランシーの家で見つけたり、ゼロポラスの店でポワロが「がらくた盆」から手に取ったりした筒と同じ模様である。
 雑誌『ストランド』はホームズ譚の大半を掲載した雑誌として有名だが、同誌にはクリスティーもしばしば作品を寄稿し、1932〜41年にかけて発表されたポワロ物の短篇のほとんどはこれに掲載されて、ポワロのイラストがその表紙を飾ることもあった。
 クロイドン空港でジャップ警部が注文した「フルコース」は原語だと full English で、これは前菜とスープから始まる一連のディナーのことではなく、フルイングリッシュブレックファスト(イギリス式朝食一式)のことである。
 ジャップ警部のレディー・ホーバリ犯人説についてポワロが言う「第二に、〔レディー・ホーバリは〕的に当てる名人並みの腕を持っていた」という台詞は、原語だと「名人」として Fred Perry (フレッド・ペリー) の名前を挙げており、序盤のテニス大会の場面を受けたものとなっている。
 ハイビジョンリマスター版で、ジェーンがポワロを訪ねてパリのホテルへやってきた際に呼出しを受けている人の名前は、日本語だと「マダム・ゴーシュ」だが、原語は Madame de la Voche (マダム・ド・ラ・ボシュ) である。また、フロントでジェーンが言うフランス語の « Un homme... uh... réserve une chambre... pour moi. Il s'appelle... Poirot. » は、日本語に直せば「男の人……ええと……わたしの部屋……予約します。彼の名前は……ポワロです」と言っている。
 ホテルの前でジェーンと別れるときにポワロが言う「前に言ってたデュポンさんへの寄付の件」は、デュポンがジェーンに仲介を依頼する場面も、ジェーンがポワロにそれを伝える場面も、「名探偵ポワロ」オリジナル版ではカットされて見られない。ただ、ジェーンとマダム・ジゼルの家に向かう途中にポワロが言った「ご足労願ってすみません」という台詞が、原語では 'Or perhaps that is not such a bad idea. (でも、それも悪くはないかも)' となっていて、これがその寄付の打診に対するコメントだった。なお、カットのないハイビジョンリマスター版の日本語では、このポワロの台詞は「でも、場合によっては考えます」となっている。
 ジャップ警部が読んでいる「イギリス上流社会のゴシップを暴露しているという」 Daily Mirror (デイリー・ミラー) は、実在のタブロイド紙である。
 クロイドン空港とル・ブールジェ空港は当時の英仏の空の玄関口。現在はそれぞれ1946年開港のヒースロー空港と1974年開港のシャルル・ド・ゴール空港にその座を譲っている。ル・ブールジェ空港のロケ地は、現在は航空宇宙博物館となっている現地だが、クロイドン空港のロケ地は「西洋の星の盗難事件」と同じくショアハム空港(現ブライトン・シティ空港)。ル・ブールジェ空港を発った飛行機が海を渡る前に飛んでいた田園地帯もイギリスで、ポワロがミッチェルに声をかけられる前に飛んでいたのはベクスヒル西方のウォラーズ・ヘブン川沿い、海に差しかかったところはライ南方である。イギリス側の海岸は、名勝として知られるセブン・シスターズ。パリでのロケ地は、前述のパレ・ド・トーキョーシャンゼリゼ劇場のほか、モンマルトルのサクレ・クール寺院、およびノルヴァン通りやルピク通り、アベス小路などその周辺、パレ・ロワイヤルのジョアンヴィーユ柱廊、ブーローニュのローラン・ガロス、シャイヨー宮(現地としてだけでなく、結婚式のおこなわれたホール入り口も)、カルーゼル凱旋門(バンク映像と思われる)、ポルト・ドレ宮(「名探偵ポワロ」オリジナル版ではカットされた場面のアフリカ・オセアニア美術館)、エッフェル塔麓のユニヴェルシテ通り、パッシー墓地(パリ警視庁入口)、ポルト・ドーフィーヌ駅(やはり「名探偵ポワロ」オリジナル版ではカットされた、アフリカ・オセアニア美術館近くの地下鉄駅)、ポルト・ド・クリニアンクールのマノワール・ポール・ベール(吹き矢を売った店のある通り)、ラフェ通りとジャスマン通りの角、サン・ジェルマンのジャック・キャロ通りにあるカフェ〈ラ・パレット〉、シテ島ユルサン通りおよびシャントル通りなど。一方、ポン・レミ駅のロケ地はフランスではあるが現地でなく、アンドル・エ・ロワール県にある、旧トゥレーヌ蒸気鉄道の元シャンピニー駅(現レ・ハッピー・キュルトゥール・ド・ラ・ヴード)である。壁面の彫刻が印象的なジェーンのフラットがあるのはロンドンのタビストック・スクエアで、ノーマンの家から向かう途中にタクシーで通過したのは近くのゴードン・スクエア。ジェーンがクランシーの著書を調べに行った図書館も、ゴードン・スクエアにあるドクター・ウィリアムズ文庫。ノーマンの家があるのはロンドン郊外のリッチモンド・グリーン西側。ホーバリ卿の邸宅やレディー・ホーバリの入り浸っているカジノは、ルートン・フー・エステイト。クランシーの自宅の撮影地は不明ながら、その向かいのカフェの場面は複数の場所で撮影した映像をつないでいると見られ(窓の外が映らないカットは、おそらくセットでの撮影と思われる)、ポワロの側を映した際に、窓と席の位置関係やポワロの皿に載ったフォークの向きが変わる。
 ベネシア・カー役のアマンダ・ロイルは、ジョーン・ヒクソン主演の「ミス・マープル」の一篇、「バートラム・ホテルにて」ではペニファーザー牧師の受付をした航空会社スタッフの役を演じていた。また、ジェーン役のセアラ・ウッドワードは、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」の一篇、「這う人」のエディス・プレスベリー役でも見ることができる。エリーズ役のガブリエル・ロイドは、ジョン・ソウ主演の「主任警部モース」の一篇、「カインの娘たち」にブレンダ・ブルックス役で出演。
 デジタル放送の放送データに載っているあらすじには、「捜査を進めると、婦人〔女性〕は上流社会の人々に金を貸しては、返済が遅れるとスキャンダルをネタに脅迫していたことがわかる」と書かれているが、そのことはジャップ警部が現場到着前にパリ警視庁へ問い合わせた時点ですぐに判明している。
 冒頭、セーヌ川に釣り糸を垂れる人々が映る場面では、画面奥のカルーゼル橋を現代のトラックが通過するのが写ってしまっている。またハイビジョンリマスター版では、ジェーンがパリのホテルに入ってきた際、道の向こう側にいる人たちは服装が現代的で、エキストラでない一般の人の写り込みと思われる。
 » 結末や真相に触れる内容を表示
  1. [1] Agatha Christie: 100 Years of Poirot and Miss Marple, Honey Bee Media, 2020
  2. [2] ジャネット・モーガン (訳: 深町真理子, 宇佐川晶子), 『アガサ・クリスティーの生涯 下』, 早川書房, 1987, p. 61
  3. [3] ピーター・ヘイニング (訳: 岩井田雅行, 緒方桂子), 『テレビ版 名探偵ポワロ』, 求龍堂, 1998, p. 51
  4. [4] 久世紳二, 『形とスピードで見る 旅客機の開発史 ライト以前から超大型機・超音速機まで』, 日本航空技術協会, 2006, p. 74
  5. [5] THE STRAND MAGAZINE - November 1936 by Anonymous (editor) (Margaret Kennedy; Vicki Baum; Valentine Williams; John Gunther; Dale Collins; Quentin Reynolds; Victor MacClure; Denis Mackail; W. Townend; Anthony Armstrong; Peter Paul O'Mara; Maynard Greville; Milady): (1936) First Edition. Magazine / Periodical | W. Fraser Sandercombe
  6. [6] The Strand Magazine June 1935 Charles Dickens Discoveries, Churchill Rare by Sapper: (1935) Magazine / Periodical | JS Rare Books
  7. [7] The Strand Magazine June 1936 Agatha Christie Hercule... | Barnebys

ロケ地写真

カットされた場面

日本

オリジナル版

[0:14:32/0:40]決勝戦後のポワロ、ジェーン、ノーマンのテニスに関する会話
[0:56:21/2:14]ホテルに到着したジェーンがデュポンに会う場面 〜 2人が地下鉄の駅から出て博物館へ向かう場面 〜 博物館での2人の会話 〜 マダム・ジゼルの家へ向かうポワロとジェーンの会話の前半

ハイビジョンリマスター版

なし

映像ソフト

  • ※1 「名探偵ポワロ DVD-BOX2」にも収録
  • ※2 「名探偵ポワロ [完全版] DVD-BOX2」「名探偵ポワロ [完全版] 全巻 DVD-SET」「名探偵ポワロ [完全版] DVD-SET 5」にも収録
  • ※3 吹替は大塚智則さん主演の新録で、映像もイギリスで販売されているDVDと同じバリエーションを使用
  • ※4 「名探偵ポワロ Blu-ray BOX vol. 2」に収録

同原作の映像化作品

  • [アニメ] 「アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル 第36話〜第39話 雲の中の死」 2005年 監督:高橋ナオヒト 出演:里見浩太朗、折笠富美子、野島裕史、屋良有作、田中敦子
2024年3月8日更新