「名探偵ポワロ」の紹介 Introduction to Meitantei Powaro
「名探偵ポワロ」とは
「名探偵ポワロ」は、1990年より NHK の総合テレビと BS で放送されてきた海外ドラマです。オリジナルは英国のカーニバル・フィルムおよび ITV スタジオズ制作の Agatha Christie's Poirot 。その名が示すとおり、ベルギー人探偵エルキュール・ポワロを主人公とするアガサ・クリスティーの小説を映像化したものです。
主演は、数あるポワロ役者の中でも「もっとも原作のポワロに近い」と言われるデビッド・スーシェ。そして、原作では一時期にしか登場しないヘイスティングス、ジャップ警部、ミス・レモンにそれぞれヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリーン・モランを迎え、レギュラーメンバーとして配しています。この4人にドラマオリジナルの性格付けを加えて物語の中心に置き、原作では1910年代から1970年代にまたがる舞台を1930年代半ばから後半に固定することで、原作の雰囲気を損なうことなく、このドラマならではの魅力を付加することに成功しました。個々の作品は原作をそのまま映像化したものばかりではありませんし、キャストも必ずしも原作に描かれた風貌どおりではないのですが、それでも多くの原作ファンに受け入れられ、原作に忠実なシリーズとさえ評されることもあるのは、ひとえにキャストやスタッフの説得力のある仕事ぶりによるものでしょう。
一方で、宇津木道子さんの台本と山田悦司さんらによる演出、そして熊倉一雄さんをはじめとする吹替陣を揃えた日本語版も、原語を単に和訳しただけのものではなく、時には台詞をまったく別の意味に置き換えたり、原語にはない台詞を挿入したりしながら日本ならではの魅力を生んでおり、主演のデビッド・スーシェをして「日本人はポワロを自分たちの一員にしてしまっている」、「日本語吹替の『名探偵ポワロ』はほかのどの言語や立居振舞いと比べても素晴らしく、完璧に日本語に馴染んでいる」と言わしめました[1][2]。
オリジナルの Agatha Christie's Poirot は、1989年より1年に1シリーズのペースで短篇を中心に制作されてきましたが、1994年に制作された第6シリーズ以降、制作がしばらく中断。1999年に制作局を移して制作が再開されました。さらに2003年には制作会社の交代がおこなわれたものの、その後も制作はつづき、2013年に原作最後のエピソード Curtain: Poirot's Last Case を放送するに至りました。一方の「名探偵ポワロ」は、1990年1月13日に「ミューズ街の殺人」を第1話として放送。その後も不定期なスケジュールながら、2014年10月6日の「カーテン ~ポワロ最後の事件~」に至るまで、すべてのエピソードを日本語吹替との二カ国語形式で放送しました。この間に制作されたエピソードは70作品にのぼり、ポワロが登場する小説のほぼすべてがこのドラマシリーズで映像化されています。
なお、「名探偵ポワロ」では、日本語吹替音声が追加される一方、尺の都合から特に前期の作品でしばしばオリジナルの一部がカットされています。カットされているのは、【各作品紹介】に掲載している部分のほか、大半のオープニングとエンディングがオリジナルよりも短くなっています。また、エンディングのキャスト・スタッフロールも独自のものに置き換えられています。
主演は、数あるポワロ役者の中でも「もっとも原作のポワロに近い」と言われるデビッド・スーシェ。そして、原作では一時期にしか登場しないヘイスティングス、ジャップ警部、ミス・レモンにそれぞれヒュー・フレイザー、フィリップ・ジャクソン、ポーリーン・モランを迎え、レギュラーメンバーとして配しています。この4人にドラマオリジナルの性格付けを加えて物語の中心に置き、原作では1910年代から1970年代にまたがる舞台を1930年代半ばから後半に固定することで、原作の雰囲気を損なうことなく、このドラマならではの魅力を付加することに成功しました。個々の作品は原作をそのまま映像化したものばかりではありませんし、キャストも必ずしも原作に描かれた風貌どおりではないのですが、それでも多くの原作ファンに受け入れられ、原作に忠実なシリーズとさえ評されることもあるのは、ひとえにキャストやスタッフの説得力のある仕事ぶりによるものでしょう。
一方で、宇津木道子さんの台本と山田悦司さんらによる演出、そして熊倉一雄さんをはじめとする吹替陣を揃えた日本語版も、原語を単に和訳しただけのものではなく、時には台詞をまったく別の意味に置き換えたり、原語にはない台詞を挿入したりしながら日本ならではの魅力を生んでおり、主演のデビッド・スーシェをして「日本人はポワロを自分たちの一員にしてしまっている」、「日本語吹替の『名探偵ポワロ』はほかのどの言語や立居振舞いと比べても素晴らしく、完璧に日本語に馴染んでいる」と言わしめました[1][2]。
オリジナルの Agatha Christie's Poirot は、1989年より1年に1シリーズのペースで短篇を中心に制作されてきましたが、1994年に制作された第6シリーズ以降、制作がしばらく中断。1999年に制作局を移して制作が再開されました。さらに2003年には制作会社の交代がおこなわれたものの、その後も制作はつづき、2013年に原作最後のエピソード Curtain: Poirot's Last Case を放送するに至りました。一方の「名探偵ポワロ」は、1990年1月13日に「ミューズ街の殺人」を第1話として放送。その後も不定期なスケジュールながら、2014年10月6日の「カーテン ~ポワロ最後の事件~」に至るまで、すべてのエピソードを日本語吹替との二カ国語形式で放送しました。この間に制作されたエピソードは70作品にのぼり、ポワロが登場する小説のほぼすべてがこのドラマシリーズで映像化されています。
なお、「名探偵ポワロ」では、日本語吹替音声が追加される一方、尺の都合から特に前期の作品でしばしばオリジナルの一部がカットされています。カットされているのは、【各作品紹介】に掲載している部分のほか、大半のオープニングとエンディングがオリジナルよりも短くなっています。また、エンディングのキャスト・スタッフロールも独自のものに置き換えられています。
- [1] Japanese fans bring Suchet back as Poirot - Telegraph
- [2] 番組ピックアップ, ミステリチャンネル, 2004
原作者 アガサ・クリスティー
1890年9月15日、イギリスのトーキーに生まれる。50年以上の作家生活で70に及ぶ長篇と180近い短篇、19の戯曲をものし、その著書は英語圏で10億冊、非英語圏でさらに10億冊が売れたと言われる〈ミステリの女王〉。1920年、『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。ベルギー人探偵のエルキュール・ポワロ、地方の村に暮らす老婦人のジェーン・マープルをはじめ、トミーとタペンスのコンビや、パーカー・パイン、ハーリ・クインなどの多彩な探偵を創造する一方で、ノンシリーズのミステリ作品やメアリ・ウェストマコット名義での普通小説も執筆。演劇好きとしても知られ、彼女の書いた戯曲『ねずみとり』は、ロンドンのセント・マーティンズ・シアターにおいて、50年を超える世界最長のロングランを今なお更新中。1976年1月12日、ロンドン近郊の自邸で死去、享年85歳。
1890年 | イギリスのトーキーに生まれる。 |
1914年 | アーチボルト・クリスティーと結婚。 |
1919年 | 娘ロザリンドが生まれる。 |
1920年 | 『スタイルズ荘の怪事件』刊行。 |
1926年 | 自宅より失踪、11日後にホテルで発見される。 |
1928年 | アーチボルトと離婚。 |
1930年 | 考古学者マックス・マローワンと再婚。 初のメアリ・ウェストマコット名義で『未完の肖像』刊行。 |
1943年 | 孫マシューが生まれる。 |
1952年 | 『ねずみとり』初演。 |
1955年 | アガサ・クリスティー・リミテッド設立。 |
1956年 | CBE を受勲。 |
1971年 | DBE を受勲。 |
1976年 | ロンドン近郊のウィンターブルック・ハウスで死去。 |